「まだまだ、ファッション業界でも、『エシカル? ああ聞くよね』くらいの反応も多いですが、トップマネジメントに近い人と話せば話すほど、新しいビジネスチャンスとしてだけでなく、社会をつくるコンセプトとしてやらないといけないという気持ちを持っています」
前回のroomsでエシカルエリアの創設を提案し、エシカルエリアのディレクターとなった坂口真生さんは言います。そして、roomsとしてエシカルを始めた理由について、以下のように語っています。
「エシカルプロダクトは、競争力を考えたときに、まだいろいろと足りない。それにファッションの世界では、どうしてもトレンドの要素も重要になってくる。私たちH.P.FRANCEが展示会でこのようなエリアをつくる意味は、エシカルなテーマとトレンドを掛け合わせることにあります。さらに、そんなトレンドを超えて、テーマに向き合ってモノづくりをするようなブランドを応援していく仕組みを作らなければいけない。その最初のステップが、roomsのエシカルエリアになったらいいなと思っています」
roomsは、百貨店やファッションビルのトップバイヤーが集まることもあり、彼らの目にとまる可能性も十分にある場所。しかし、前にも挙げたとおり、実際に百貨店がエシカル商品の取り扱いをしても、なかなかそこから広がりが持てていない現実があります。坂口さんもエシカルプロダクトの社会への広がりが、現状では限定的であることを認めています。
「立ち上げたばかりのブランドも多く、ビジネスとしての難しさに直面しているブランドも多くあります。そして、エシカルなテーマだけでなく、結局はプロダクトで勝負しなくちゃいけないが、デザイン力が不足しているという現実はあるでしょう。さらに、デザイン性を高めていくのはもちろんのこと、つくり方やコミュニケーションにもこだわっていかないと後が続かない。テーマが重かったり、深かったりするからこそ、コミュニケーションをデザインする、説明的でなく、ストーリーを楽しく見せる、ということも大事だと思います」
エシカルプロダクトは、テーマが深く重いものが多いだけに、売り方も説明的になりがちです。しかしそれをストーリー(物語)として、いかに楽しく伝えるかというのもひとつの大きな課題です。「製品のテーマ」×「品質」×「デザイン化されたコミュニケーション」の3つがそろっていないと、お客様に広がるのはなかなか難しいのです。
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