子供たちからお年寄りまで、すべての世代が安心できる令和の時代の新しい社会保障制度の在り方を大胆に構想していくーー。
9月の内閣改造で初入閣した西村康稔・経済財政再生相に担当大臣を兼務させ、安倍晋三首相は「全世代型社会保障検討会議」を新たに設けることを表明した。
民間有識者の顔ぶれから読み解く議論のゆくえ
9月20日に検討会議の第1回会合が開催された。検討会議は、今年末に年金や介護を中心とした中間報告、来年夏に医療を含めた最終報告をまとめる予定としている。メンバーは、主要閣僚7人と民間有識者9人、計16人から構成される。
政府には、社会保障改革について議論する会議がすでにいくつか存在する。それなのに、新たな会議を設けて何をするのか。既存の会議の存在をないがしろにするつもりなのか。そんな声もある。しかし、民間メンバーの構成をみると、今後の議論の展開が占える。
民間有識者は、遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所所長、翁百合・日本総合研究所理事長、鎌田耕一・東洋大学名誉教授、櫻田謙悟・経済同友会代表幹事、清家篤・慶應義塾前塾長、中西宏明・経団連会長、新浪剛史・サントリーホールディングス社長、増田寛也・東京大学公共政策大学院客員教授、柳川範之・東京大学大学院教授である。
このうち、中西、新浪、柳川の3氏は経済財政諮問会議の民間議員、翁、櫻田と中西の3氏は、成長戦略の決定に影響力を持つ未来投資会議の主要メンバーである。西村大臣は、経済財政諮問会議の司会進行役と未来投資会議の副議長を兼ねている。このことから、今後の社会保障改革の議論は、厚生労働省の会議だけで議論するのではなく、経済財政諮問会議と未来投資会議と密接に連携していこうとしていることがうかがえる。
そのスタイルは、小泉純一郎内閣における社会保障改革の詰めた議論が、経済財政諮問会議で行われたことを思い出させる。
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