全世代型社会保障、今後何を議論すべきか 若年世代にも恩恵が及ぶ改革案づくりを

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とはいえ、より専門的な内容を検討するとなると、厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会や労働政策審議会で議論しなければならない。検討会議のメンバーである遠藤氏は、社会保障審議会長であり、増田氏は同会長代理である。鎌田氏は労働政策審議会長である。だから、社会保障審議会や労働政策審議会の議論を無視するわけではないだろう。

また、第2次安倍内閣以降の社会保障改革は、内閣官房に置かれた社会保障制度改革推進会議でも議論してきた。検討会議のメンバーである清家氏は、同会議の議長、増田氏は同議長代理である。

さらに、経済産業相の諮問機関である産業構造審議会は、中西氏が会長で、増田氏が会長代理、柳川氏は同審議会の2050経済社会構造部会長である。加えて、増田氏は、財務相の諮問機関である財政制度等審議会の財政制度分科会長代理でもある。

ちなみに、検討会議の第1回会合に配布された基礎資料には、産業構造審議会2050経済社会構造部会の配布資料にあった図表や、同部会や未来投資会議の議論を経て今年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」の引用が盛り込まれている。

国民の負担増伴う増税論議には踏み込まず?

他方、政府税制調査会の会長や会長代理は、検討会議のメンバーとはならなかった。政府税調は総理大臣の諮問機関であり、格の高い政策会議だが、その主要メンバーが検討会議のメンバーにならなかったことから、検討会議は国民の負担増に直結するような増税論議には踏み込みたくないという意図が見え隠れする。

こうしてみると、検討会議の議論の展開が見えてくる。検討会議は、民間メンバーが兼務している審議会などと連携して、論議を組み立てていくことになるだろう。検討会議の議長は安倍首相だが、ただでさえ多忙な首相が出席する会合で、2時間も3時間も議論を続けるわけにはいかない。

首相が臨席するほかの会議同様、検討会議も改革内容のすべてを決めるのではなく、検討結果を首相をはじめとするメンバーに報告し、方針について了承し、安倍首相がさらなる指示を出すという展開が予想される。

そして、検討会議で示された方針や意向を受けて、民間メンバーが兼務する審議会などでさらに議論を深め、細かい制度設計を固めてゆく。最終的には、そうして固められた政府の原案を与党に諮って決めることになるのだが、その政策決定過程の中で、検討会議に新たな役割が与えられることになるだろう。

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