7カ月ぶり既存店増収、マック復調は本物か 1月の既存店売上高は前年比3.4%のプラス

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客数増のキーワードは“打倒コンビニ”

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「アメリカンヴィンテージ」でも客数減を止められなかった

この先、マクドナルドはどのようにして客を取り戻していくのか。具体策としてカサノバ社長が強調するのは、客単価の高い家族連れを対象とした取り組みの強化、そして、打倒コンビニだ。

マクドナルドは2013年12月末時点で全国に直営、FC合計で3164店を構えているが、このうち約200店でプレイランドという子供向けの遊技場を併設している。実際、全国の店舗を訪れる人の35%が家族連れだ。今期中には35~50店に新たにプレイランドを設置し、他社との差別化を図る。

一方で、コンビニに流出してしまった顧客を取り戻す施策も進める。その一例が、3月に投入する「ビックブレックファスト」という新メニューだ。マフィンとソーセージ、卵を一皿に盛ったボリューム感のある内容となっており、朝食市場での存在感を高めるのが狙い。くわえて、2014年末までに宅配店舗を現状の130店から260店まで倍増させる。

出退店戦略については、新規出店が50~60店とする一方、不採算店を中心に143店の閉店も予定している。「閉店店舗1店当たりの売上高と新店1店当たりの売上高は2.2倍の開きがある」(今村朗・執行役員)ことから、売上高の減少を最小限にとどめながら、店舗ポートフォリオの改善を進める。

このような取り組みをテコに、2014年度の既存店売上高を3年ぶりのプラスに持っていくと同時に、経常利益も107億円と前期比4.5%増という目標を掲げている。ただ1月は、カサノバ社長の肝いりキャンペーン第1弾でも、逃した顧客を完全に取り戻すには至らなかった。ここからの巻き返しは可能か。マクドナルドが迷い込んだ隘路は簡単に抜け出せるものでないことだけは確かだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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