公取検査を受けたセブン、加盟店との信頼関係に揺らぎ
セブン・イレブン・ジャパンが、独占禁止法違反の容疑で公正取引委員会の立ち入り検査を受けた。販売期限の近づいた弁当を値下げして販売していたフランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し、不当にそれを制限した疑いが持たれている。
値引き販売は、フランチャイズ契約において決して禁止されているわけではない。契約書類には、商品の販売価格の決定権は加盟店にあると明文化されており、20日に開いた記者会見でもセブン・イレブンの顧問弁護士は「標準的な小売価格を提示してはいるが、実際の決定権はFC加盟店にある」とした。
商品が売れ残った場合、その廃棄処分による損失を負担するのは加盟店側だ。売れ残る可能性のある商品は、値引きをしてでも販売してしまったほうが、加盟店は負担を減らすことができる。
ただ、コンビニは24時間営業や立地の利便性を武器に、商品を値引きしない定価販売モデルで急成長を遂げてきた業態だ。賞味期限の迫った弁当やおにぎり、サンドイッチなどの見切り販売を容認すれば、1日3回配送する鮮度の強みが薄れてしまう。そればかりか、客の多くが値引きした商品しか買わなくなり、やがて加盟店同士の価格競争に発展する可能性もある。「そうなれば、本部も加盟店も経営が立ち行かなくなる」(大手コンビニ首脳)。
背景に過当競争
都内にあるセブン・イレブンのある加盟店オーナーは、「値引き販売が自分たちの首を絞めるということぐらい、セブンの加盟店なら理解しているはずだが……」と首をひねる。この加盟店の場合、1日の売り上げ約100万円に対し、商品の廃棄ロスは毎日1万5000~2万円程度出るという。「最初はもったいないと思ったが、廃棄を恐れて仕入れを減らせばますます売れなくなる」(同)。