なぜか自己肯定感が低い日本の未婚男性の実像 「男らしさ規範」の意識の強さの差が関係?

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既婚者に比べて未婚者の自己肯定感が低いというお話は、こちらの記事(『40代独身者が「幸せになれない」根本原因』)で詳しくご紹介していますので、そちらを参照してください。

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では、こうした状況の要因は、未婚と既婚の違いだけによるものなのでしょうか?

婚姻と関係のない子どもの自己肯定感を、独立行政法人国立青少年教育振興機構による「青少年の体験活動等に関する意識調査(平成28年度調査)」の結果から見てみましょう。

自己肯定感の年齢別の推移

小学4年生から高校2年生にかけて、自己肯定感は男女とも下がり続け、とくに女子は自己肯定感のありなしの差分がマイナス30ポイント(自己肯定感がない方が多い)にまで拡大します。箸が転んでもおかしい年ごろと言われ、楽しい毎日を謳歌しているように見える女子高生も自己肯定できていないのです。

ところが、これは成人になると変わります。調査対象が変わるので同列に扱うことはできないという前提のうえ、別途私が調査した20代以上の各年代別未婚男女の自己肯定感の変遷と比べてみます。

20代は女性より男性の方がまだ自己肯定感が高いのですが、30代以降は完全に逆転します。つまり、未成年時代は男子の方が自己肯定感が高く、成人すると女性の方が高くなるのです。一方で、既婚者で見ると、男女差はほとんどありません。

結婚してパートナーがいる状態の既婚男女は、未婚男女と比較して、明らかに高い自己肯定感をキープしています。裏返せば、未婚状態が自己肯定感の低さに影響を与えていると言えるでしょう。しかも、その影響は女性よりも男性の方が大きく、年代とともにその差が開いていきます。これは、未成年の頃の男女推移とまったく逆になっているところが興味深い部分です。

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