反対に、自己肯定感の低い男性は、既婚者であっても「男らしさ規範」意識は弱くなりますが、全体的に未婚者より既婚者の方が規範意識が強いようです。結婚したから規範意識に目覚めたのか、規範意識が強かったから結婚できたのか、それらの因果までは不明ですが、興味深い結果です。要するに、これら「男らしさ規範」意識の強さの差が、未婚と既婚の男性の自己肯定感の差となって表れているのです。
妻や子どもを養っているという認識
既婚男性にとっては、「妻や子どもを養っている」という認識が自分の自信となり、そこに自己の社会的役割を見いだしていると言えます。あくまで夫側の認識なので、事実としてその役割を全うしていると妻が思うかどうかは別問題です。対して、そうした自己の役割を確認できる「妻や子」のない未婚男性は、そこに自己の男らしさの欠落を感じてしまうのです。
昨今、「男が生きづらいのは、男が男らしさの呪縛から脱却できないからだ」という言説もありますが、多くの既婚男性はこの「男らしさ」意識によって支えられているとも言えるわけです。ここから解放されてしまうと、既婚男性の多くが自己肯定感を得られなくなってしまうのではないでしょうか。
男たちが「男らしく」生きることは苦しみも伴うかもしれませんが、その苦しみがなければ男は自己肯定できないというジレンマがあるのかもしれません。なお、ここでは自己肯定感と規範意識との相関について述べているのであり、規範意識の是非とは関係ありません。
となると、恋人も妻も子どもいない未婚男性は、自己肯定感を上げられないまま生涯を終えることになるのでしょうか。しかし、未婚男性が唯一、既婚男性に自己肯定感で勝っているポイントがあります。それは「生きがいとなるような趣味やライフワークを持っている」未婚男性たちです。アイドルやアニメ、ゲームなどに時間もお金も惜しまない未婚男性にとって、それらはある意味、「男らしさ」以外で自己の社会的役割を付与してくれるものなのかもしれません。
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