ちなみにSPCCI燃焼はセンターディスプレイに表示されるエネルギーフローの画面でSPCCIロゴがグリーンに点灯することで確認できるのだが、今回の走行パターンでは点灯率はほぼ100%でSPCCIの圧縮着火領域の広さを実感できた。
このように刺激に満ちた特性ではなく全域でドーピング感のない力強さとフラットな特性を持つスカイアクティブXは、マツダが目指す「滑らかな走り」に対する回答の1つであり、例えるなら「究極の実用エンジン」と言っていいだろう。
いいエンジンだが決定打に欠ける
マツダ3は「走る/曲がる/止まる」すべての領域で「究極の滑らかな走り」を目指して開発されているが、パワートレイン/シャシーのバランスという意味で言えば、さまざまなパワートレインをラインナップするマツダ3の中で最もそれを体現している。
ただ、厳しい事を言うとライバルとなる小排気量ターボやハイブリッドに対する優位性を問われると、いいエンジンではあるが現時点では決定打に欠けるのも事実。例えば、180ps/224Nmのスペックに対してもう少し“余裕”が欲しいし、燃費はアウトバーンを元気に走らせたペースでMT/AT共に6.5~7.0L/100kmと走りと燃費のトレードオフが少ない点は評価できるも絶対的な数値に関してもユーザーメリットを感じにくい。
さらにトランスミッションによって印象が異なるのも気になる部分だ。MTは自分でシフトが選択できるので、スカイアクティブXの旨みを活かし小気味よく走らせることが可能だが、ATは変速のステップ比が広いうえにビジーなシフト制御のためスムーズさに欠け、「滑らかな走り」の実現に対してはやや足を引っ張っている。
マツダは「多段化の必要ない」と言うが、筆者は多段化で動力性能やドライバビリティ、さらに燃費も大きく改善できると思うのだが……。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら