欧州仕様のスペックはすでに公開済みで、直列4気筒、排気量1998cc、圧縮比16.3(ガソリン車世界最高)、最高出力180ps/6000rpm、最大トルク224Nm/3000rpmだ。ちなみにトランスミッションは6速MT/6速AT、駆動方式はFF/AWDと幅広い組み合わせを用意している。日本仕様のスペックは未公開だが、上記の理由からほぼ同スペックと考えていいだろう。
今回はファストバックの6速MT/6速AT(共にFFモデル)をフランクフルト国際空港からクルマで北に約30分走った所に位置する、マツダの欧州開発拠点「MRE」に近いドイツの古き良き町並みが残る田舎町、タウヌスの市街地とアウトバーンを組み合わせた欧州の“リアルワールド”で走らせた。
「カプセル吸音」などによる徹底的な遮音
スタータースイッチを押すと僅かなクランキングと共にエンジンが始動、静かにアイドリングを始めた。スカイアクティブXの第一印象は“普通”だ。走り始めると、やや低音を聞かせた雑味のないサウンド、メカニカルサウンドが少なめで抵抗感が少なそうな摺動部、そして滑らかに吹け上がる回転フィールに、高度にバランス取りされた“高精度エンジン”のような繊細さを感じた。
一般的に圧縮着火エンジンは音が厳しいと言われるが、スカイアクティブXはエンジンを包み込む「カプセル吸音」などによる徹底的な遮音によりノイズ成分を大幅にカット、心地よいサウンドのみを残す。静粛性の高さはガソリン/ディーゼルに対して高く上級のマツダ6をも超えるレベルである。
それと同時に、これまでのガソリン/ディーゼルとは似ているようで似ていない不思議な感覚がある。具体的に言うと、ゼロ発進時にアクセル操作に対して素直にスッと前に出るアクセルのツキのよさは「ディーゼル」、常用域ではドーピング感が少ないフラットなトルク感は過給が控えめの「ライトプレッシャーターボ」、そしてレッドゾーン(6800rpm)までスッキリと綺麗に吹け上がるレスポンスのよさは「ガソリンNA」と、さまざまなエンジンの長所がシームレスに融合しているのだ。
スカイアクティブXを支える高応答エアサプライとMハイブリッドは、口の悪い人は「エンジンの実力がないので補うために採用」と言うが、それは大きな間違いだ。そもそも、高応答サプライは従来の過給の概念とは異なり、理想の燃焼のために空気量をコントロールするためのもの、Mハイブリッドは変速時にトルク変動を抑えるためとアイドルストップからの滑らかな復帰(アシスト量は1kWhに満たない)と。どちらもマツダが目指す「滑らかなフィーリング」のために活用されているのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら