『ポツンと一軒家』という番組タイトルが強く貢献したターゲットはシニア層だと考えられる。
「そのまんまやん」系の、シニアにもとっつきやすい番組タイトルにひかれて、シニア層が番組を視聴し、タイトルどおりの番組内容を確認。そして徐々にファンになり、結果、番組の中で「『ポツンと一軒家』見てますよ!」としゃべってしまう構造が見て取れるのだ。
実はこのシニアにおける強みは、『ポツンと一軒家』だけでなく、テレビ朝日全体に言えることのようだ。テレビ朝日・早河洋会長兼CEOは、今年3月28日の定例会見で「シニア層に強いテレビ朝日」と断言している。
ちなみに、先の平日昼間のワイドショー/ニュース番組について、テレビ朝日では『羽鳥慎一モーニングショー』『大下容子ワイド!スクランブル』と、番組内容の核となるメインキャスターの名前を全面に出したトラディショナルなタイトルとなっていて、またそれらの合間に『徹子の部屋』や倉本聰脚本のドラマ『やるらぎの刻~道』が流れるのだから、かなりのシニア向けフォーメーションと言えるだろう。
かくいう私(52歳、関東地区在住)も、気がついたらなんとなくテレビ朝日を眺めていることが多い。出演者やセット、画面の作り方が、私世代にとって、どことなく落ち着く感じがする。
もちろんテレビ局のビジネス的観点では、若者層の視聴が重要であることは変わらない。だが、スマートフォンや、さまざまな動画配信サービスとの競合の中で、既存の地上波テレビ局にとって、今後ますます人口増加するシニア層が生命線となっていくことは不可避だろう。だとすれば、『ポツンと一軒家』というタイトルや番組内容、ひいてはテレビ朝日の編成には、テレビ界の未来を指し示す本質的な何かがあるのではないか。
朝日放送テレビの持つ面白さ
最後はテレビ朝日の話となったが、『ポツンと一軒家』の制作は、大阪の系列放送局・朝日放送テレビ(ABC)である。この局は最近では『探偵!ナイトスクープ』、古くは『てなもんや三度笠』などで、大阪発ながら全国的人気のバラエティーを制作してきた歴史のある放送局である。
大阪出身のシニア層である私は、朝日放送制作の『ポツンと一軒家』が今、全国を席巻したことに、ちょっとした感慨がある。
そんな朝日放送テレビの制作で、長らく全国ネットで放映されてきた番組がある。この一見古めかしい「そのまんまやん」系タイトルが、実はテレビ界の未来を指し示し続けてきたのかもしれないと、私は最近思い始めた――。
――『新婚さんいらっしゃい!』。
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