この番組のチーフプロデューサーである朝日放送・植田貴之氏は、番組タイトルについて2019年3月のORICON NEWSの記事でこう語っている。
「そんなにあれこれ悩まずに、自然とついたんですよね、『ポツンと一軒家』って。もう、衛星写真を見たそのままの印象というか。これほど番組内容を表せるタイトルはほかにない」(「日曜激戦区で快進撃続く…『ポツンと一軒家』成功の理由」)。まさに「そのまんまやん」系だ。
実は、最近話題になっているバラエティー番組には「そのまんまやん」系タイトルが多い。
その代表は、この連載でも取り上げた『池の水ぜんぶ抜く大作戦』(テレビ東京)だろう。こちらは「大作戦」というレトリックが付いているものの「池の水ぜんぶ抜く」という部分は完全に「そのまんまやん」系。
ほかにも『激レアさんを連れてきた。』『あいつ今何してる?』(テレビ朝日)、『家、ついて行ってイイですか?』『Youは何しに日本へ?』『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京)など、テレビ朝日とテレビ東京のバラエティーに、「そのまんまやん」系タイトルが多い(またその多くが会話調になっているのも面白い)。
「そのまんまやん」系タイトルの深み
そんなトレンドの対極を行くのが、平日昼間のワイドショー/ニュース番組(関東地区)のタイトルだ。テレビ欄を見るとこのようなタイトルが並んでいる(正式タイトルより一部を抜粋したものもある)。
【日テレ】『ZIP!』『スッキリ』『バゲット』『ヒルナンデス!』
【TBS】『あさチャン!』『ビビット』『ひるおび!』『ゴゴスマ』『Nスタ』
【フジ】『とくダネ!』『ノンストップ!』『バイキング』『グッディ!』
こう並べてみると、記号的なタイトルの羅列に驚く。共通項は以下の3点だ。
2.(1に向けた)略語、短縮形、放送業界用語の活用。
3.「!」の多用。
もちろん『ポツンと一軒家』などのバラエティー番組に対して、これらは平日の帯番組(月~金放映)で、番組内容が日によって変わるため、「そのまんまやん」系番組タイトルは付けにくくなるが、それにしても、あまりに記号的かつ互いに似すぎていて、視聴者の側にとって親しみやすいものとは言い難い。
そんなタイトルが乱立する日々のテレビ欄の中で、『ポツンと一軒家』のような「そのまんまやん」系タイトルは、ぐっと光り輝いてくる。この7文字が、あのドローンで俯瞰した映像が浮かんでくるような、イメージ喚起力の高い文字列となっていることもあって、日曜20時、多くの人々があの番組にチャンネルを合わせるのではないか。
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