アベノミクスへの評価は?
経済的な成果から見て、これまでのアベノミクスの評価はいかがでしょうか?
合格点がつけられるんじゃないでしょうか。十分に成功していると思います。
イメージでいうと、街なかでアンケートをとって、今は5人に聞いて1人くらいが景気がいいと答えますが、来年は5人に聞いて2人、再来年は5人に聞いて3人が景気がいいと答えるようになるのではないかと思います。これは1本目の矢の成果でしょう。
この本は、出版した時期的にもアベノミクスの中で、最も重要な1本目の矢のことを中心にとらえています。1本目の矢はあくまで、産業の六重苦(超円高、高い法人税率、経済連携協定遅れ、労働規制、環境規制、電力不足)のうちの円高を解消するための1本です。
ですから、アベノミクスで今やっていることが、このまますべてうまくいくとは私も思っていなくて、リスクもあります。最も大きなリスク、は財政規律です。これがポイントです。
実は今、この財政規律についての本を書いています。日本の財政がどんな状況で、どんなリスクがあるのか、破綻してしまったらどうなるかについて、90分で読めるようわかりやすく解説しています。アベノミクスの2本目の矢と骨太の方針、税と社会保障の一体改革についての本と言えるでしょう。8月に出版する予定です。
さらに、今後はグローバルスタンダードに向けての政策というのもやっていかなくてはなりません。それが3本目の矢になります。
今後の日本経済とアベノミクスの進むべき方向はどちらでしょう?
日本人は教育もしっかりしているし、勤勉な国民性でもありますから、同じ土俵で戦わせる土台を作れば、日本企業は絶対に勝てるわけです。今、その土台ができていないことが問題なのです。
100メートル競争でみんな同じスタートラインに立っているのに、日本だけ200メートル競争のスタートラインで後ろに立っているのです。これでは勝てるわけがありません。それを同じスタートラインにすることができた瞬間に、日本は本当に勝負ができます。
ただ、今はそれを実現することが難しい状況です。というのも、金融政策だけで、こんなに時間がかかっていますからね。
それでも金融政策については、どこからもほとんど反対がありませんでしたから、すんなりできましたが、次の成長戦略には様々なハードルがあって、これからそこを乗り越えなくてはいけないので、そこがアベノミクスをやり抜くには難しいところがあると思います。
日本経済に救いがあるのは、直す余地がたくさんあることです。戦後、日本経済はあまりに好調で、日本国内のことだけ考えればそれなりに成長ができていたので、いろいろな政策が、ある意味でガラパゴス化してしまっていました。
それを日本の人口が減っていく中でどう転換していくか、今の政策では人口が減っていくとダメなんですけれど、でも世界中を見回すと、人口が減っていてもちゃんと成長している国もあります。そういうところを見習って、世界基準の経済政策を押し進めていくべきですね。
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