いまさら人に聞けない「アベノミクス」を全解説!

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この本は若い人に読んでほしい

この本の中で、特に読者にわかっておいてほしいことがありますか?

世の中ですごく誤解が多いのは、総合物価と個別物価の違いです。「輸入品が今、値上がりしてます」と、よく大騒ぎしていますけれど、それで物価全体が上がると思ったら違うんですよね。だって、今だってまだ物価は下がっているじゃないですか。
なぜ、そういうことが起こるかというと、輸入品の値段が上がると、消費者は輸入品に余分にお金を払うわけですから、輸入品以外に払うお金を減らさなければなりません。そこで日本の企業は売れなくなって困り、モノの値段を下げていくので、全体の物価が上がらなくなります。

 日銀がやろうとしているのは、全体の物価を上げることです。全体の物価を上げるために何が必要かというと、家庭の収入が増えることです。家庭の収入が増えて、みんながモノを買い、全体の売上が増えていくと、そこではじめて物価が上がっていくのです。
 メディアもそれをかなり誤解していて、「牛丼の○△家が値下げした。だからデフレだ」というようなことをいいますが、それは違います。それはあくまで個別物価にすぎません。
 一家庭が購入する金額全体の上がり下がりで、インフレやデフレは決まってきますから、家庭の収入が重要なのです。でも、家庭の収入が増えるためには、3年くらいかかります。ですから、2年でインフレ率2%というのはきびしいですね。

この本を一番読んでほしい人たちはどのような人たちでしょうか。

私は若者の力は重要だと思っています。今の若者は、もの心ついたときから、「失われた20年」で、やる気がそがれているような気がします。ひと昔前に、学生に「将来は年収をどれくらい稼ぎたいですか?」とアンケートをとると、いちばん多いのは年収1000万円くらいでしたけど、今一番多いのは年収400万円です。もっと貪欲になってほしいと思います。

そういう中で、今までが異常であって、普通にやれば日本はまだ魅力のある経済なんだということをわかってもらうために、学生とか、若いサラリーマンたちにこの本を読んでもらいたいですね。景気がよくなれば、必ず人手不足になって、若い人たちの雇用もどんどん増えていきますからね。

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