「裏方に回る力」がリーダーに必要不可欠な理由 経営学は自分に無関係と思う人に欠けた視点
20世紀の日本を代表する経営学者の1人、三隅二不二氏は、組織のトップが成すべきことは、利益やそこに至るための売上などの各種の成果(Performance)を上げることと、組織を管理して維持(Maintenance)することである、というPM理論を提唱しています。
理想的なリーダーシップとは?
下図の左上の成果(P)重視するPm型は、軍隊型の組織ともいえ、少数精鋭のITベンチャーなどに見られます。しかし、Pm型の組織にはついていけないメンバーが出てくるかもしれません。逆に右下のpM型のように維持(M)を重視しすぎると、メンバーとは仲良くなれるかもしれませんが、リーダーシップを発揮できず、チームに緊張感がなくなり、成果は上がりづらくなるでしょう。
左下のpm型のように、仕事に甘いだけではなく組織をまとめるのも苦手なリーダーはもちろん論外です。右上のPM型のようにPとMのバランスがとれたリーダーシップが理想的とされています。これがリーダーシップ論の基本です。
産業の変化が激しい時代についていくため、PM理論を基本としながら、会社を変革していくことも経営者の役割とみられています。会社の新しい未来図を描き、それを共有するために積極的にメンバーに働きかけるのです。リーダーシップ論の権威であるジョン・コッター氏が提唱する、変革型のリーダーシップが求められるようになっています。
例を挙げて説明しましょう。老舗の和菓子屋さんがあるとします。社長は、売上を伸ばして成果を挙げる(P)、組織の維持(M)を両立することで、よい和菓子をつくり、利益を上げていきます。しかし、時代の変化とともに人々の趣味嗜好が変わり、世の中の生産方式も変わっていきます。いくら老舗店でも、時代の波に乗らないとお客さんが離れてしまうかもしれません。
そこで必要になるのが、変革型のリーダーシップです。社長はPM理論の経営を維持しながら、新しい機械を導入したり、幅広い層に受け入れられる新商品を開発したり、ネット通販に販路を広げるなど、変革も行っていかなければならないのです。
つまり、今日の経営には、大きくいえば「組織と業務成果を管理すること」と、「それらを変革すること」の2種類の役割があり、そのどちらか、あるいは両方が求められることになるわけです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら