考えてみると、やはり英語は単なる一言語という存在を越えて、国際共通語として使用されているということなのでしょう。どの言語を話す人ともコミュニケーションがとれるように英語を使用するというのが、ある意味暗黙の了解になっているのかもしれませんね。
なぜ英語が国際共通語になったのかについては、19世紀のイギリスの植民地拡大や20世紀に入ってからのアメリカ合衆国の台頭などがその原因であると言われます。たまたまどちらも英語圏の国だったというのが、英語が広がった一因なのだとか。
また言語的にも、英語がさまざまなヨーロッパ言語が融合してできあがった経緯があったり、ヨーロッパ言語の中では比較的文法がシンプルであったりすることも、その要因であると指摘する人もいます。まったく異なる日本語を話すわれわれにしてみると、十分に複雑な言語だと思ってしまいますけれどね。単数形・複数形とか、冠詞とか本当に厄介です。
だとすると、ジョンが愚痴をこぼしていたのは「その『国際共通語』が通じない」という意味であって、別に「みんなが自分たちの言葉を話すべきだ」と考えての発言ではなかったのでしょう。でも、国際共通語が英語だとすると、英語圏の人たちにとっては、とても有利な世界になっているということですよね。例えば日本人が世界で活躍しようと思ったら、自分の専門分野の勉強以外に、英語の勉強もしないといけないわけです。でも、その分の時間は英語圏の人たちには不要なわけで、それってなんだか不公平ですよね。
不公平な英語格差
国際共通語として英語を使用するときには、英語のネイティブスピーカーをトップに、非ネイティブの英語ができる人が続いて、英語があまりできない人、まったくできない人というヒエラルキーが出来上がってしまっています。ある意味では、英語ができない人ほど不利な立場にあるということです。これをEnglish Divide(英語格差)と、英語では言います。
こういった格差がすでに存在していることはどうしようもないことで、すぐさま是正することは難しそうです。20世紀初頭にエスペラントという人工語が、国際共通語として開発されました。これこそ、すべての人にフェアな共通語だったのだと思いますが、なかなか定着せずに実質的には英語が国際共通語として使用されているのが現状です。
いまはこの現状を受け止めつつ、われわれ非ネイティブは海外の人々とコミュニケーションがとれるように、英語の学習やトレーニングに励むしかないのでしょう。また、ネイティブの方たちは「相手に自分たちの言語を話してもらっている」という多少のうしろめたさというか、感謝の気持ちのようなものは持ち、有利な立場にある分、言語に関しては謙虚な姿勢や寛容さを持って相手に接してもらいたいところです。
皆さんは、World Englishes(世界の英語たち)という表現を聞いたことがありますか。これはネイティブスピーカーの英語だけでなく、世界にはさまざまな国のなまりを伴った英語が存在するというところから生まれた表現です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら