東京電力はなぜ、賠償金を「払い渋る」のか

突然の賠償金返還請求、膨大な資料要求も

東京電力は、いったん支払った賠償金の返還を求め始めている(撮影:今井康一)

東京電力が2013年12月策定の新再建計画策定で表明した原発事故の賠償に関する「3つの誓い」の中に、次のようなくだりがある。

「2013年12月に成立した消滅時効特例法の趣旨を踏まえるとともに、最後の一人が新しい生活を迎えることができるまで、被害者の方々に寄り添い賠償を貫徹する」

「ご請求手続きが煩雑な事項の運用等を見直し、賠償金の早期お支払いをさらに加速する 」

ところが、その誓いの文言とかけ離れた理不尽な対応が相次いでいる。

払い過ぎた賠償金5500万円を返還せよ

福島県内で農業資材販売店を経営する山田敏彦さん(仮名)は、東電の担当者から手渡された通知文の内容に目を疑った。

「今まで支払ってきた賠償額が本来払うべき金額よりも多すぎた。その一部の返還を求める」との趣旨が記されていたのだ。山田さんによれば、”精算金”として東電から返還を求められた金額は5500万円にのぼっていたという。年商の5割近い金額だ。

今年3月、山田さんは利益が落ち込んだ分の賠償を東電に請求した。原発事故によって段ボールや肥料などの売り上げが激減し、一向に回復の見込みが立たないためだ。

「今までの経験に照らすと、そろそろ東電の担当者が合意書案を届けに来るはずだ」。4月下旬、山田さんは何も疑わずに東電の回答を待っていた。

次ページ突然、「払い過ぎ」の賠償金を返済せよ
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ドラの視点
  • 実践!伝わる英語トレーニング
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 買わない生活
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ストロング系チューハイの光と影
ストロング系チューハイの光と影
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「未来を知る」ための読書案内<br>ベストブック2021

先を見通せない日々が続きますが、本を開けばアフターコロナ時代のヒントがあふれています。本特集では、有識者や経営者、書店員らが推薦した200冊を掲載。推薦数の多い順にランキングしました。あなたにとっての珠玉の1冊を探してみてください。

東洋経済education×ICT