年間20万人が訪れる「北朝鮮観光」のリアル 北朝鮮を観光すると何ができるのか

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しかし、観光したからといって、北朝鮮という国がわかったということにはならない。「百聞は一見にしかず」という気持ちで入国しても、北朝鮮という国の実像がなかなか見えてこないのも現実です。現地で市民と話をする機会も少ない。訪問回数を重ねることで経済的、社会的な変化を多少読み取ることはできるかもしれません。

また、日本で報道されるような、政治・外交面を知ろうとして訪朝しても見えてきません。

観光業強化の最大の目的は

観光の大きな目的の1つは外貨稼ぎです。今も続く経済制裁の対象に観光業は含まれていません。北朝鮮にとって外貨獲得が合法的に可能な手段として観光業があります。少しでも実利を得たいという思惑があるのは間違いない。

ただし、外貨獲得のために観光業を拡大させても、北朝鮮の体制の本質はなんら変わらないということは知っておいたほうがいい。

──社会主義や金正恩体制を根幹とする体制の本質、ということですか。

礒﨑敦仁(いそざき あつひと)/1975年生まれ。ソウル大学大学院博士課程留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省専門分析員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員のほか、日本カジノスクール講師も歴任。総合旅行業務取扱管理者資格所有。共著に『新版 北朝鮮入門』など(撮影:今井康一)

北朝鮮にとって観光業とは、ひとえに体制宣伝の手段です。外貨獲得という目的が体制宣伝という目標の上に来ることは決してない。実利を得ることが第1の目的であれば、外国人旅行者が申請するビザの発給を選択的に拒否するということはしないはずです。

──旧ソ連をはじめかつての社会主義国への旅行と、現在の北朝鮮とで違う点があるのでしょうか。

旧ソ連や東欧諸国への旅行も、バウチャー式といって事前に日程や利用交通機関、訪問先、宿泊先などを決めてビザを申請し、OKが出て入国するという流れでした。ただ、現在の北朝鮮のように入国後に自由な行動ができないわけではなかった。また、北朝鮮観光には個人であれ団体であれ、ビザ発給が不許可となるケースもしばしば生じます。

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