バズる文章を書く人と書けない人の致命的差 ナンシー関の「毒舌」を真似するのは難しい

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ネットでは、あえて自分の弱み、失敗をさらけだすようなエピソードがよく読まれる傾向があります。ビジネスでの失敗談は弱さと取られかねませんが、プライベートでの失敗談は、愛すべきこととして受け取られ、好感を得やすいです。

そうして自分の弱みを魅力的に表現し、共感を得るのが得意な作家の1人が、星野源さんです。例えば著書『そして生活はつづく』でつづられている私生活のワンシーンとして「どういうわけか洗面台がビシャビシャになる」という文章があります。

しかしその理由は、明らかにされません。なぜなら、本人にもわからないからです。そこに描かれているのは、俳優と歌手をこなすスターとしての星野源さんではなく、ちょっとだらしのない、どこか抜けた1人の男性の私生活であり、くすっと笑いながら読むことができます。

ナンシー関を真似するのは難しい

ルール2:人を批判する文章は避ける

誰しも、よくないと思うことや面白くない物事に対して何か意見を発信したくなることはあるでしょう。しかし実は、文章力や表現力が最も問われるのが、いわゆる「毒舌」です。

個人を否定したり、傷つけたりする文章は、人が離れるもととなります。それをせずに、自分の中にある違和感をうまく表現して共感を得るのはとても難しいもの。もちろんそれをやってのける物書きの方々もいます。

例えばナンシー関さんの毒舌的文章は、ありきたりの批判とは格が違います。武田鉄矢と題されたコラムでは、「武田鉄矢が人気者であると思うたび、私は日本という国が嫌になる。武田鉄矢を受け入れるというのが日本人の国民性だとするなら、私は日本人をやめたくなる」という一節があります。

この文章をよく見れば、「武田鉄矢が嫌いだ」とは言っていません。「武田鉄矢を受け入れる国民性が嫌いだ」と主張しているだけです。また、このコラム全体を見ると、武田鉄矢さんというアイコンを通し、実際は日本人の国民性や感情について批判する文章になっています。だからこの文章は、ただの悪口として終わらず、人の目を引く毒舌として成立しているのです。

毒舌というのは、「どこまで踏み込んで言うか」の塩梅が本当に難しいもの。そして失敗すればただの悪口になってしまいますから、文章に自信がないなら、書かないほうがいいでしょう。

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