バズる文章を書く人と書けない人の致命的差 ナンシー関の「毒舌」を真似するのは難しい

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ルール3:大多数に「ウケよう」としない

仕事の感覚だと、ブランディングやマーケティングの視点から「いかに多くの人の関心を引くか」に意識がいきがちです。しかし、ネットに関心の高い層は目が肥えていて、作為的なものはすぐ見破られ、拒否されてしまいます。いきなり「大多数にウケる文章を書こう」とは思わないほうがいいようです。

逆説的になりますが、「1人の読者に届けよう」という発想で書いた文章のほうが、結果的にバズりやすいと感じます。文章とは本来、「自分1人」と「誰か1人」をつなぐもの。不特定多数の顔のない集団に向けて書くよりも、届けたい誰かをできるだけ具体的に思い描きながら書くと、言いたいことや表現したい内容が明確になりやすいです。

友人の顔を思い浮かべて書く

ブロガーのはあちゅうさんが、「自分のブログは、最近会っていない友人に対し、近況報告のつもりで書いている」とおっしゃっていたのを聞いたことがありますが、ブログを書くときはこのような距離感が最適なのではないかと思います。

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友人でも、妹でも、実家の犬でもいいですから、「おそらく自分のことを好きでいてくれるであろう相手」を思い浮かべ、そこに向けて文章を書くのがお勧めです。

ビジネスで使う文章で自分の個性や趣味趣向を表現するのは難しいですが、プライベートなら遠慮なく、自分が好きなものや関心のある物事について発信できます。

そうして発信を続けていくと、同じ感性を持った仲間ができたり、仕事以外の部分で人から評価されたりして、人生がより豊かになっていきます。どうか楽しみながら、文章を書き続けていってほしいと思います。

(執筆・構成:國天俊治)

三宅 香帆 文芸評論家

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みやけ かほ / Kaho Miyake

1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。天狼院書店(京都天狼院)元店長。2016年「京大院生の書店スタッフが「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本ベスト20を選んでみた。 ≪リーディング・ハイ≫」がハイパーバズを起こし、2016年の年間総合はてなブックマーク数ランキングで第2位となる。その卓越した選書センスと書評によって、本好きのSNSの間で大反響を呼んだ。『人生を狂わす名著50』(ライツ社刊)、『女の子の謎を解く』(笠間書院)『それを読むたび思い出す』(青土社)など著書多数)。4月『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を発売予定。

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