「メルカリとヤフオク」利用目的の決定的な違い 不用品を売るのは同じでも似て非なるもの

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メルカリとヤフオクの違い、おわかりいただけましたでしょうか。不用品を簡単に出品できるという点では同じですが、その中身は似て非なるものなのです。

シェアリングエコノミーがもたらした7つの変化

メルカリは、広義には「モノやサービス、場所などを、多くの人と共有・交換して利用する社会的な仕組みの1つ」とも捉えられます。これは、そのまま「シェアリングエコノミー」の定義としても成立します。つまり、形式的にはフリマアプリですが、その実態はシェアリングエコノミーのプラットフォーム。それがメルカリです。

以下に、メルカリのシェアリングエコノミーがもたらした7つの重要な変化を指摘したいと思います。

① 「資産」の定義を変える

数年前、メルカリにトイレットペーパーの芯が販売され、話題になったことをご存じでしょうか。多くの人の目には「ただのゴミ」であるはずのものが売りに出され、しかも買い手がつく。メルカリ登場以前には考えられなかったことです。

種明かしをすると、トイレットペーパーの芯は「小学生の夏休みの工作の材料」として、お母さんたちが購入したものです。一見何の役にも立たないようなものに価値があると感じる人とつながるためのプラットフォーム。これも、メルカリが果たしている役割の1つです。トイレットペーパーの芯はこれまで、いわば「非資産」でした。しかしメルカリのプラットフォームが誕生したことで値段がつき、トイレットペーパーの芯は資産に変わった。資産の定義そのものが変化しています。

② 「価格の決定権」をシフトする

モノの値段は、それを製造したり販売したりする企業が決めているケースがほとんどです。消費者は店頭価格に従って商品を購入します。もちろん「高い、安い」といった感情は生じるにせよ、自分が価格決定に関われないからといって、そこに疑問を感じることはありませんでした。メルカリは、その価格の決定権を、消費者側にシフトさせる力を持っています。

というのも、メルカリの登場で「その商品にいくらの価値があるか」が瞬時にわかるようになったからです。メルカリには中古品だけでなく、未使用の新品も出品されています。そこには、消費者が「買ってもいい」と思う値段も、ダイレクトに表示されています。

③ 「評価方法」を変える

商品や在庫、不動産などの価値を算出するにあたっては、従来、将来見込まれるキャッシュフローを現在価値に換算する「ディスカウントキャシュフロー」や、貸借対照表の純資産額を用いる「純資産方式」などがありました。メルカリの登場は「メルカリならいくらで売れるか?」という考え方、つまり処分価格によって評価する手法を、一般的なものにしました。

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