「メルカリとヤフオク」利用目的の決定的な違い 不用品を売るのは同じでも似て非なるもの
しかし、メルカリには競争心や「高く売りたい」気持ちよりも、「共感できる人に売りたい」「安心・納得して買いたい」というユーザーが集まっています。対照的にヤフオクは、できるだけ高く売りたい側と、できるだけ安く買いたい側、どちらも競争心がポイントになっています。これはそのまま、「女性的な」メルカリ、「男性的な」ヤフオクという対比として見ることもできるでしょう。
「お下がり」のメルカリ、「競り」のヤフオク
あらためて、メルカリとヤフオクを1つのポジショニングマップ上に描いてみますと、縦軸に「共感」「競う」という対比を、横軸に「できるだけ高く売りたい」「捨てずに活かしたい」という対比をとることで、1つのマップ上に整理することができます。
メルカリには「お下がり」に、ヤフオクは「競り」にルーツがある、という大胆な仮説が立てられます。テクノロジーの進化によって生まれた2つのサービスですが、そこには意外にも温故知新の精神が潜んでいるのではないでしょうか。
昨今のシェアリングエコノミーの隆盛を待たなくても、日本には古くからシェアが根付いていました。それが「お下がり」です。日本人はこれまで長い間、「捨てるのはもったいないから」と、親しい関係にある誰かに譲ることでモノを活かすという習慣とともにあったのです。
メルカリの小泉文明社長は、「われわれのマーケットプレイスのキーワードは、『「捨てる」をなくす』です」と述べています。なぜ「『捨てる』をなくす」というキーワードが、ここまで日本人の心に響いたのか。仮説ではありますが、現代版「お下がり」というメルカリのポジショニングが、日本人のDNAに訴えたからではないか。私にはそう思えてなりません。
一方で、ヤフオクは、端的に「競り」を思わせます。身近なところでは「せどり」があります。せどりとは、古書や中古DVDなどを安く仕入れて高く転売し、その差額を利益とするもの。せどりで稼いでいる人の多くが男性で、そのかなりがプロ化しています。典型は、ブックオフなどの中古ショップで値付けが甘い品を仕入れて、それをアマゾンマーケットプレイスやヤフオクで高く販売する、という手法。そこには「できるだけ安く仕入れ、できるだけ高く売る」というゲーム性、そして競い合うことや「競り」を見ることができます。
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