香港騒乱「中国人民解放軍」の介入はあるか 「雨傘運動」の敗北で中国への反感が増幅

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大企業に入っても、役員などの地位は共産党幹部子弟の指定席となり、昇進の夢も破れた。そうした中国への反感が雨傘運動の敗北で増幅。こんな香港など、もうどうなってもいいと自暴自棄になっているというのだ

「それが今回の抗議活動を雨傘よりも過激、危険なものにしてしまった最大の問題だ。彼らは抗議活動をどこまでも過激化させていくことは間違いない」

世界の諜報活動の中心であった香港で、共産党はイギリス植民地時代から貧困子女の教育費を肩代わりし、「土共」と呼ばれる地下細胞を養成してきた。前出のメディア幹部はその土共から転向した経験を持つ、共産党の本質を知る人物だ。彼は「(中国人民解放軍とデモ隊の衝突という)流血の惨事」が起きる可能性が高まっているという。

香港デモは反「習近平」派にとって格好の材料

「すべては新旧幹部が一堂にそろい、重要政策を決定する(中国の)非公式会議、北戴河会議にかかっている。今の中共(中国共産党)には改革派、保守派の別はなく、習近平派と反習近平派があるだけ。トップ就任以来、汚職撲滅を旗印に政敵を次々と打倒してきた習近平に対して、打倒された側が彼を引きずり下ろそうというのが今年最大の争点だ」

反習近平派にとってみれば、香港問題は米中貿易戦争と並んで、習近平派攻撃の格好の材料だ。習近平が自らの地位を危険にさらしてまで、香港デモ対策を穏便に済ませるわけがない。

「今年は中華人民共和国建国70年の記念すべき年。10月1日の国慶節まで香港で暴動が続き、天安門広場での祝賀行事に泥を塗るようなことを習近平が許すはずがあるだろうか。中国共産党が一党独裁と国土の分裂という2大命題に触れられたとき、どれだけ反理性的な行動をとるのか。それは30年前の天安門事件で西側諸国もよく学習しているはず」

この見立てを否定できる材料は、今のところ何一つとして見つけることができない。「流血の秋」は刻一刻と近づいている。

高橋 政陽 著述業

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たかはし まさはる / Masaharu Takahashi

1960年生まれ。早稲田大学在学中に中国に留学。東京新聞から転じたテレビ朝日で台北支局長、「サンデープロジェクト」チーフディレクターなどを歴任。

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