香港騒乱「中国人民解放軍」の介入はあるか 「雨傘運動」の敗北で中国への反感が増幅
週末の抗議活動に続いて休み明けの8月5日には出勤、登校、商業の「三罷」(ストライキ)が呼びかけられ、約50万人が参加。香港人職員が多いキャセイ・パシフィック航空などを中心に200便近い航空便が欠航となった。職員の半数近くがストに参加したキャセイに対し、中国政府担当部局はストに参加した職員を中国便に搭乗させないよう要請している。
また、地下鉄など公共交通機関の運行がデモ隊によって妨害され、香港島と九龍半島を結ぶ大動脈である紅磡(ホンハム)海底トンネルが複数回にわたってデモ隊によって封鎖された。
特区長官の完全な普通選挙を要求
デモ隊の若者が先鋭・過激化して市民生活を顧みなくなった抗議活動は、一般市民の支持を得られなくなってきている。しかし、デモ隊は抗議活動中に拘束された活動家の全面釈放に加え、雨傘運動の際のスローガンであった「(特区長官の)完全な普通選挙」まで要求を拡大している。
中国政府も、暴徒化するデモに強い警告を発し、人民解放軍介入の危機も高まっている。中連弁襲撃を受けた7月24日、人民解放軍の所管官庁である国防部が緊急記者会見を開き、「過激なデモ行為は中央政府への権威の挑戦であり、1国2制度の原則となる一線に触れるものだ。絶対に許すことはできない」とし、香港特区政府の要請があれば人民解放軍の出動が可能と強く警告を発した。
8月7日には香港マカオ事務弁公室の張暁明主任が香港に隣接する深圳で香港問題に関する緊急会合を招集。人民解放軍出動は香港特区政府の要請がなくても、国会に相当する全国人民代表大会の判断だけで十分であると警告し、空港閉鎖後の13日には同弁公室スポークスマンが「テロリズムの兆候が出始めている」とコメント。暴動がテロに拡大する瞬間を待ち構えていることをうかがわせた。
そして、香港に隣接する広東省でデモ排除の訓練を繰り返す人民解放軍の映像まで公開した。
デモ隊も、香港特区政府も、すでに当事者能力を失っている。人民解放軍出動に向けて着々と地ならしする中国政府のこうした動きは、出口の見えない香港騒乱の現状を把握したうえでのことであるのは言うまでもない。
香港メディアの幹部はこう解説する。
「若者たちはすでにやけっぱちになっている。雨傘運動は実は政治闘争というよりは経済闘争だった。香港は急速に成長した中国経済の負の側面の直撃を受け、中国富裕層の不動産あさりから香港の地価は世界一となってしまった。香港大学を優秀な成績で卒業して地場の大企業に入り、一生飲まず食わずで働いてもマンション1つにも手が届かない」
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