お盆休みの「1ドル105円割れ」定着に注意が必要 「円高は進まない」という思い込みはヤバイ

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そうしたフラッシュ・クラッシュの動きを警戒し、今年初めての大型連休(10連休)前には、急激な為替の変動に気をつけるべきだという投資のプロやメディアなどの警戒コメントをよく見かけました。結局、為替に関しては10連休中には1月のようなフラッシュ・クラッシュは起きませんでした。

個人投資家の中には「なんだ~。結局、大きな動きは生じなかったじゃないか」とか「まったく、オオカミ少年だな」などと警戒コメントをした人を揶揄(やゆ)するようなツイートも目立ちました。また「FXのレバレッジ取引でこれだけスワップポイントを稼げた」などといった自慢ツイートもありました。

今回も、「滅多に起こらないフラッシュ・クラッシュなんかに遭遇するはずはない」「虎穴に入らずんば虎子を得ず。チキンハートはスワップポイントを稼げない」などと妙な自信を持ったりする人もいます。「短期間で1ドル=105円台に入ったので、常識的に言ってここからの急激な円高はありえない」と自信たっぷりに投資家仲間に熱弁をふるう人もいます。

実際は取引参加者が減り、流動性が低下する局面では、平時と違い、ちょっとした注文の偏りで大きな値動きが生じる確率が高いのです。しかし大型連休中にフラッシュ・クラッシュに遭遇しなかったので、今回もそうした事態は起こらないだろうと高をくくる「過小評価バイアス」に陥っているのかもしれません。さらには「自分は為替のことはよく知っている」といった「自信過剰・過信」や、「小数の法則(表が出過ぎているので次は裏が出るだろう)」などのバイアスも生じているかもしれません。

「1ドル=105円程度で止まる」は本当か?

そもそも「105円」という数字はどこから出てきたのでしょうか?行動ファイナンスの世界では一つの数字がアンカー(基準)となって投資行動が縛られるバイアスのことを「アンカリング」と呼んでいます。

例えば、まさにキリのよい数字としての1ドル=105円がそれにあたります。その数字自体は根拠がないものですが、わかりやすいので数字自体が判断の基準になってしまい、投資の意思決定に使われたりします。前回、正月に起こったフラッシュ・クラッシュの時に下落した水準が1ドル=104円87銭なので、今回もその数字がアンカーとなって1ドル=105円程度で止まるだろうと思っているわけです。

また、「検索容易性」というバイアスもあります。これは、たまたま利用しやすいデータで物事を判断してしまう傾向で、例えば、ネット証券に組み込まれ、自分が使いやすい投資判断ツール(チャートやバリュエーション指標など)だけで容易に判断してしまうことが挙げられます。もっと具体的にいえば「チャートでゴールデンクロスが出た通貨を選択して投資判断を行う」「PER(株価収益率)が低いランキングのみで個別銘柄の投資判断を行う」などです。

では、なぜこうした投資判断の仕方は問題があるのでしょうか?

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