英国の落日、瓦解した”金融帝国”の夢 


 「クレジット・クランチ・ランチ」。ロンドンの金融街シティでは、急激な信用収縮(クレジット・クランチ)をもじった割安な昼食が人気を呼んでいるが、正直なところ、英国経済はジョークでも食えない厳しい現実のただ中にある。

ウィンブルドン化(外資導入)や積極的な規制緩和、そして33倍ものレバレッジを利かせた資金力で作り上げた、輝かしい金融立国の痕跡は今のロンドンには見当たらない。「クール・ブリタニア」(かっこいい英国)と称賛され、かつての大英帝国の復活を夢見たユーフォリア(陶酔)は、すっかり消え失せた。

巨額な財政拡張を背景にポンドは売られ、対ドル相場で23年ぶりの安値に落ち込んだ。イングランド銀行(BOE)は1694年の創設以来最も低い1・0%に政策金利を引き下げ、量的緩和に踏み出す。GDP成長率も2四半期連続マイナスのリセッション入り。年率換算の成長率は景気後退感が強いユーロ圏より悪化している(下グラフ参照)。

平均株価指数も、1年前の6割水準にまで崩れ落ちた。米ダウ工業株平均指数を写真に撮ったかのように相似した英FTSE100の推移は、マーケットの特異性だけでもたらされたわけではない。過剰流動性に伴う金融の信用拡張と収縮、そしてカネ余りが招いた住宅バブルの発生と崩壊。この二つの構造要因が金融危機を深刻化させたという点では、まさに英米両国は主犯格の“共犯関係”にある。

米国一極集中だった投資資金の流れは、米国の極端な経常赤字を産油国や新興国、ファンドのマネーが米国債購入などでファイナンスすることで埋められてきた。このグローバルインバランスの仕組みがうまく機能したのは、誰あろう英国のおかげだ。ロンドン・シティには長年の歴史的背景から、巨額なオイルマネーや欧州のヘッジファンドマネーが吸引され、ニューヨーク・ウォールストリートへ巨額な投資資金を繰り出していた。この資金の流れが今、金融危機による信用収縮で、投資した本国へ逆流を始めているのだ。

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