もはや、海外投資家はアルゼンチンに対する信頼がないから、スペインの銀行ですらアルゼンチンへのエクスポージャーは小さい。さらに言えば、民間企業には資金は入っても、そして株価は堅調であっても、誰も政府や通貨は信用しない。だから、海外資金の逃避は問題にならない。むしろ、実体として、その国の経済に生活している国民が投資資金でない、生活資金としての資産を移動させることにより起きているのだ。
アルゼンチンペソから米ドルへの交換に高率の課税がなされていて、今回、中央銀行は通貨の下落に対抗して、ドル準備を放出して防衛しようとしたのに、政府は、国民のプレッシャーに負け、この税率を引き下げたために、ペソからドルへ資金が動き、暴落となった。それが今回の危機であるから、これは実体的な危機であり、国際金融市場の危機ではない。
だから、国際的に伝播はしないし、同様に国内リスクのあるトルコは防衛した。したがって、今年、2014年の危機は、金融市場の危機であっても、それは金融による危機ではなく、実体経済からの危機なのだ。
だから、トレーダーサイドからの仕掛けは成功しないだろうし、長期的には無視されるだろう。やはり、2014年の金融市場は退屈な市場である。
逆に言えば、だからこそ、危機は大きく見えなくても、実質的であり、問題の根は深く、深刻だということである。今年生じた危機は、真摯に対応しないと大変なことになる。その場しのぎではなく、構造的な改革が必要だ。日本で言えば、金融政策ではなく、財政構造再建、10%への消費税引き上げ以上の政策が必要となるということだ。
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