サラリーマンNEO流、「自分を変える」技術 30過ぎまで不発の人間でも、変われるか?
まったく企画が通らない32歳の僕は、完全に自信を失い、ディレクターをやめようかと考えていました。そんなとき、古い友だちとの飲み会がありました。これまで一度も番組の企画を人に聞いたことがないのに、そんな状況だったからなのか、つい「どんな番組が見たい?」と、質問しました。すると友人が、「昔、フジテレビでやってたようなシュールなコントがみたい」って言うのです。それを聞いたとき
「NHKでコントなんて」と思いました。
でも帰ってからも、どこか心にひっかかっていました。僕は、特別お笑いが好きなわけではありません。でも、なんか単純に見たいなーと感じる自分がいました。コントの企画なんてバカにされるんじゃないかという葛藤を乗り越え、次の提案会で、考えに考えた企画に“添えて”提出しました。
考えに考えた企画はあっさりボツとなり、「またダメか……」と下を向いた瞬間、企画を採択するプロデューサーが「コント、面白いんじゃない」と言ったのです。耳を疑いました。えぇ~、これでいいの?と、混乱しました。だって本当に、コント(コメディ)がやりたいということ以外、何も書いていないのですから。これでいいんだ! 自分の企画なんだから、自分で考えたものじゃないと意味がないと、凝り固まっていた頭から解放された瞬間でした。
友人の一言から始まったコント番組。しかしNHKでスタジオコントをやった人はひとりもいませんでした。まったく前例がない状態では、アドバイスを聞ける人も、モデルケースもありません。ともかくすべてが挑戦でした。コンセプトを決めました。
「NHKにはない、NHKにしかできない番組」
それに沿い、NHKにはない(バカなコントやパロディ)+NHKにしかできない(地味な題材と主役級のいない俳優陣)を組み合わせ、「サラリーマンNEO」は生まれました。試作を5本作り、ようやく2006年にシーズン1が始まりました。
4月から9月まで、僕がすべての回の演出をしました。1日も休まず、無我夢中でした。そして、番組は当たりました。さまざまな雑誌で、大きく取り上げられたのです。ひとりで切り開いてきただけに、僕は自信満々。その後、本当の挫折が待っているとも知らずに……。
意気揚々とシーズン2に臨んだ僕は、撮影初日、生瀬さんから強烈なダメ出しをくらいました。
「笑えない。笑わせようとしてる。こんな台本じゃだめだ」
振り返れば、自分の能力を示そうと、凝ったコントばかりだったのが原因だったのです。ただ当時はもう、大混乱。シーズン後半はなんとか立て直しましたが、僕は心底、自信を失いました。自分に限界があることを、自分で認めた瞬間でした。キツかったです。しかしここから運命は好転し、自分の仕事の能力も花開くのですから不思議なものです。
未知の自分に出会うために
自分の能力の限界を認めてください。
すべてはそこから始まります。
Chapter3 今までの自分と決別してスタートしよう!
新しいことを始めるときに大事なことは、今までの自分と決別することです。自分の限界をきちんと認めていれば、過去の自分を捨てられるはずです。そして、大胆に違う行動をとってください。考えるだけではありません。考えだけでは、あっという間に、元に戻ります。行動です。行動が変われば、自分は変わります。
シーズン3が始まるとき、僕は変わろうと決意しました。心に浮かんできたアイデアは、「ほかの人が面白いと思ったものをやってみよう!」です。
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