張本勲の「佐々木不登板批判」に募る強い違和感 投手に苦難強いる高校野球の日程も大問題だ

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彼ら以外にも、高校野球で肩や肘を壊して、大学野球や社会人野球、さらにはプロ野球という次のステージに進む〝夢〟を諦めた球児は数多くいるだろう。

張本氏は「それを乗り越えて活躍するのがプロ!」と言いたいのかもしれない。

確かに松坂大輔投手(横浜)、ダルビッシュ有投手(東北)、田中将大投手(駒大苫小牧)といった、それぞれ甲子園で決勝戦まで投げた3人は、プロ野球・メジャーリーグでも一定の成績を残している。

そんな彼らも、メジャー入り後に それぞれ右肩(松坂)、右肘(ダルビッシュ)を痛めて手術をした。田中投手も手術こそ回避したもののやはり右肘を故障している。

昭和的な運動部・体育会系気質が非難される時代

張本氏の発言は時代錯誤に映る。そして彼が選手に「苦難」を強要する、昭和的な運動部体質の持ち主であることが改めてクローズアップされた。

昨年の日大アメフト部における〝タックル強要〟の問題。

ボクシング協会会長による〝私物化〟問題。

女子レスリングの代表監督、日本体操協会の女子強化本部長による〝パワハラ問題〟。

少し前には大相撲での〝体罰〟事件。

これらはすべて旧態依然とした昭和的な運動部・体育会的な体質から引き起こされて、大きな非難を浴びてきた。これらの事件・問題と今回の張本氏の発言は、根本的に質が同じだと言わざるをえない。

選手に体を酷使することを「当然」と言い切ってしまう。スポーツ選手である以上、厳しい練習やハードなトレーニングは当然だろう。ただし、それはあくまで体力や技術の向上のためである。激しい試合の中で負傷することもあるだろう。それも選手は理解しているはずだ。

とはいえ、「体の酷使は当たり前」「ケガも当たり前」はおかしな話だ。

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