深田恭子「20年主役を演じる」圧倒的したたかさ カワイイ文化を牽引した「奇跡のアラフォー」
そして17年経った今。渡部と深キョンは親子を演じている。渡部は容姿も演技もたたずまいも変わった。そりゃそうだ、17年も経っているのだから、白髪やシワが増え、深みや渋さが増して当然である。ところが、深キョンはほぼ変わらない。
当時流行の細眉が変化した程度で、顔はほぼ変わらない。キョトン具合もゆるふわ具合も不変。17年の月日が経って、娘役を演じる快挙というか暴挙というか。ちょっと感慨深いものがある。年月とは残酷かつ平等なはずなのだが、深キョンは驚異の変わらなさを誇っている。
あまり多くを語らない深キョンの表情筋からは、何ひとつ読み取れないのだが、女優として「不変」の矜持は人一倍強いに違いない。
コスプレは今に始まったことではない
「ルパンの娘」では泥棒一家に生まれた娘の役で、盗みに入るときは泥棒スーツ(体の線が出るピタッとした深紅のスーツ)を着て、目元は貴族がお忍びのときにつけるようなマスクを装着。ちまたでは「とうとう深キョンが笑いをとりにいったか」と言われているが、コスプレ的な役は今に始まったことではない。映画『ヤッターマン』でもドロンジョやっとるし。どうやら10年に1度くらいは事務所主導のコスプレ強制期があるようだ。
ただし、本人もコスプレっぷりに陰りと恥じらいを感じているようで、年々歯切れの悪いコスプレになりつつある。ちょうど「ルパンの娘」スタートと同時期に、東京ガスの新CMが始まった。『うる星やつら』のラムちゃんオマージュというので、「虎柄ビキニを着るのか!」と驚いたのだが、見てみたら風呂上りのアッパッパのような中途半端な衣装の深キョンが恥じらいながら「だっちゃ」とつぶやいて、キョトンとしていた……。深キョン、そっちじゃないよ!そっちの水は苦いよ!
深キョンが最も輝いたコスプレ最高傑作は、間違いなく映画『下妻物語』のロリータファッションだ。フリルと花柄、白やピンクを基調にしたふくらんだスカートに白タイツ、頭にはヘッドドレスやボンネット、甘系ロリータに身を包んだ深キョンは神々しかった。ブームも巻き起こした。
コルセットでギュウギュウにウエストを締め上げて、日がなおみだら三昧だったロココ時代の美学に心酔する女子の役。ドのつくヤンキーで暴走族の土屋アンナと知り合い、友情を紡いでいく青春物語なのだが、深キョンがよかったのは「わが道を行く強さ」があったからだ。
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