「あなたの番です」がこんなにも支持集める理由 日テレ日曜22時枠、視聴者の関心誘う仕掛け

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1. みんな大好きミステリーとSNSの連動

テレビドラマの2大人気ジャンルは「事件もの」と「医療もの」。「あなたの番です」はそのうちの「事件もの」である。謎の事件に主人公が巻き込まれ解決に翻弄するミステリーは、いま好まれる1話完結ものでこそないが、毎回、マンションの住人がインパクトのある殺し方で1人ひとり死んでいくので、不謹慎ながら誰が死ぬのか、どうやって死ぬのか、楽しみで見続けてしまうのだ。

さながらスリラーかホラーのような脅かしが随所に仕掛けられ、各話の終わりにドーン!と来るカタルシス(音楽もすごく感情をかきたてる)。「あなたの番です」は刺激系エンターテインメントだ。

さらなる楽しみは、「誰が殺したのか」「その動機は?」それについて考えること。殺人事件によって、次第に暴かれていく住人の秘密。普段、あまり付き合いがないあの住人、この住人はいったい何を考えているのか……何かと出てくる誰かの視線カット、これは誰の視線なのか……、この連続殺人事件の黒幕は……視聴者までも巻き込んでネットではちょっとした「考察」ブームが起こっている。

「考察」はいまにはじまったものではなく、1990年代、「ツイン・ピークス」や「新世紀エヴァンゲリオン」などの謎満載の作品に視聴者が各々推理を働かせて盛り上がっていた。今や、SNSが一般化し、誰もが気軽に考察を発信したり、それを読んだり、みんなで意見を交換したりが可能で、拡散力が大きい。それはもう盛り上がる。謎の考察はSNS時代に適しているのだ。

そのうえ、今は「人狼」ゲーム(誰が人狼か当てる心理ゲーム)のブームで、若者層も、相手の嘘を見破るゲームが大好き。「あなたの番です」は昔ながらの謎考察と近年ブームの心理ゲームのハイブリッドになっている。

各話で小さな謎は明かされつつ、大きな謎は残してあるので、気の短い人も長い人も満足できるような構成も見やすい。

個性的な住人たち、リアルな現実…とネタは満載

2. ご近所トラブル、へんな隣人という高い共感ポイント

世紀の交換殺人ゲーム事件のきっかけはご近所トラブル。マンションなどに住んでいるとご近所さんの言動が気にかかることは日常茶飯事。その不満が殺人に進展してしまうということは現実でもあり、それをうまいことフィクションに落とし込んでいる。

しかも、住人が面白い人ばかり。ここのところ盛り上がっているのは、木村多江演じる「ミキサー主婦」。子供を隠し部屋に監禁していたり、ハンドミキサーで相手を攻撃したりとキャラが立ちまくり。「ミキサー主婦」というネーミングも現実の週刊誌などでも使われそうなキャッチーさで、日常、週刊誌の記事を見るような気分でドラマが楽しめる。

木村多江に次ぐ面白キャラは、朝ドラ「半分、青い。」で主人公の幼なじみ役で注目された奈緒演じるストーカーのような女性。田中圭演じる主人公を何かと追いかけまわす。かわいいけど不気味で目が離せない。

ほか、外国人居住者や高齢者の介護問題、嫁姑問題を抱えた家族、他人のゴミをあさる人物など、リアルな現実もたっぷり盛り込んである。

また、袴田吉彦が演じる袴田吉彦に似た住人が、死んでほしい人メモに袴田吉彦(俳優の袴田吉彦が存在している設定)と書いたら、住人でないにもかかわらず袴田吉彦が殺されてしまい、事態はマンション内にとどまらなくなる悲しむべきか恐れるべきか笑うべきかわからないエピソードも。とにかくネタは満載なのだ。

次ページさらに番組に追い風を吹かせたのが…
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