「あなたの番です」がこんなにも支持集める理由 日テレ日曜22時枠、視聴者の関心誘う仕掛け

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3. 老若男女、ファミリー視聴できる

面白キャラ満載ながら次々死んでしまうので、反撃編から新たな登場人物が追加された。殺人マンションに家賃が格安だからと入居してくるだけでもう「変わっている」こと請け合いの人たち。中でも、いま女子人気ナンバー1といっても過言でない横浜流星が、AIを使って事件を解決する工学部の院生役で登場したことは番組に追い風を吹かせた。

横浜流星は「初めて恋をした日に読む話」(2019年、TBS系)で、フカキョン演じる年上の教師に恋して難関受験を突破する純情少年を演じてブレイクした若手俳優。彼が「あなたの番です」では他人とのコミュニケーションが苦手で他人のニオイを消臭スプレーで消すことを欠かさないというエキセントリックな役で登場。しかもなぜかものすごくキレるアクションまで見せて盛り上げた。

そもそも主人公役の田中圭が、8月に映画化もされる「おっさんずラブ」(2018年、テレビ朝日系)の大ヒットで女子視聴者をつかんで離さないところに横浜が登場し、田中、横浜のコンビで事件解決というような流れになってきたのだから最強である。

田中は「反撃編」では主題歌「会いたいよ」も歌う(クレジットは役名・手塚翔太)。亡くなった妻を思って毎回、「会いたいよ」と歌が流れる中で涙する姿は、殺人事件の犯人探しのエンタメ性だけでなく、叙情性にあふれ、ファンにはたまらない。

あとからでも視聴参加しやすい、考え抜かれた構成

日テレ系の日曜22時枠はこのところ、福田雄一演出の「今日から俺は‼」(2018年)、菅田将暉主演の「3年A組—今から皆さんは、人質ですー」(2019年)などによって若者層に刺さる枠に育ち始めていたので、田中✕原田から田中✕横浜となって若い視聴者の興味もぐっと上がったことだろう。

ただ、原田知世を支持するようなオトナ層にも、袴田吉彦ネタ、チェッカーズのヒット曲、舞台出身俳優のその出自を適切に生かした起用(生瀬勝久、大人計画の皆川猿時、池津祥子、ナイロン100℃の峯村リエ、ラーメンズの片桐仁など。脚本家は岸田戯曲賞受賞作家・ピチチ5の福原充則で内容も安心)など刺さる小ネタがたっぷりで満足度は高い。

以上、なかなか考え抜かれた隙のない企画なのである。

当初、連ドラで異例の半年間放送ははたして保つかと懸念されたが、「反撃編」とすることでメリハリがついたうえ、前半の積み重ねも残るので、ゼロから始めるよりも効率はいい。番組の最終回は視聴率が上がるもので、その盛り上がりを後半戦につなげるという戦略もうまい。

番組公式サイトでは(YouTube)、見逃した人をつなぎとめる各話を短くまとめた動画が掲載されていて、後からでも視聴参加しやすい。あらすじ解説なども「ネタバレ」に配慮された構成で、これまたあとから参加したい層の気持ちを損ねない。

最近の視聴者が「相棒」や「科捜研の女」、朝ドラのようなご長寿シリーズの視聴習慣を切らさないという現象にも寄り添った半年間のドラマは、今後のドラマづくりの試金石だ。

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