「従業員の離職率を下げるには?」(人事責任者) 城繁幸の非エリートキャリア相談
終身雇用の崩壊、成果主義の導入などにより、日本人の「働き方」は激変。その結果、自身のキャリアに迷えるビジネスパーソンは増えていくばかりだ。これまでの古い「昭和的価値観」から抜けだし、新たな「平成的価値観」を身に付けるためにどうすればいいのか。日本の人事制度を知り尽くした城繁幸氏が、あなたの悩みにお答えします。
CASE:20
「従業員の離職率を下げるには?」(人事責任者)
<相談者の悩み>
こんにちは。創立8年目のベンチャー企業の人事責任者です。採用から人事処遇まで、HR(ヒューマンリソース)関係の総括的なポジションに着いています。業種はIT系のサービス業、従業員数は約120人前後と、一応の安定期に入っています。
業績が伸びていることもあり、ここらで採用数を伸ばしたいところですが、当社のような知名度のない新興企業には、なかなか優秀な人材が集まりません。しかも一昨年あたりから、大手が大幅に求人を増やしていることもあり、昨年の新卒採用では、内定者の実に7割に辞退されるという事態に陥っています(まあこれは中小ならどこも共通の悩みでしょうが)。
そうはいっても、毎年なんとかほぼ予定数を採れてはいるのですが、今度は早期退職の問題が続きます。当社の場合、新卒の3年内離職率は5割超、中途も平均勤続年数は3年未満と、歩留まりが非常に悪いのです。
個人的には、ITという業種の特徴を考えると、人材はある程度の回転があった方が健全だと考えています。ただ実際問題として、人材育成やキャリアパス以前に、片っ端から人を補充しなければならず、中長期での幹部候補育成などは望むべくもありません。
採用で苦戦するのは仕方ないとしても、せめて人材の定着率を上げられないものでしょうか?そもそも彼らが辞める理由とはなんでしょうか?若者から見た魅力ある会社作りのポイントがあれば、教えてください。