7年ごとに来る「夫婦危機」脳科学から見た必然

定年前後の最大難関は乗り越えられるか

結婚28年目から35年目の7年間は、「阿吽の呼吸」か「絶望(夫源病、妻源病)」かの分かれ目になる。ゲームで言えば、最後のボスキャラ登場のクライマックス! いくつもの難関を乗り越えてきた夫婦に訪れる、最大の難関と呼んでいいかもしれない。このタイミングで多くの人は定年を迎える。 

ここでは派手な銃撃戦がない代わりに、繊細さが要求される。冒険物語の最後に、真実への道を開く呪文を解き明かす、あのシーンを思い出してほしい。正しい呪文を唱えたら光に包まれた老後が手に入るが、一歩間違えたら死。最も緊張するそんな局面に立たされるのである。

夫婦は、なぜムカつき合うのか。この永遠の命題に、人工知能研究から生まれた男女脳論が答えをくれた。

結論から言うと、男と女は、あらゆるシーンで正反対の答えを出す、真逆の装置になっている。

そうである以上、男女は譲り合っていては危ない。互いにムカつき合い、けんかをすることで、「その場の正解を最速で出す」システムになっているのだから。つまり男女は、ムカつき合うことが大前提の、ペアの装置なのである。

腹立たしい癖は諦めよう

男女は、生物多様性の論理にのっとって、正反対の感性の持ち主にほれる。遺伝子の免疫抗体の型を決めるHLA遺伝子が一致しない相手に発情するのだ。

暑さに強い個体と、寒さに強い個体が子孫を残せば、地球が温暖化しても寒冷化しても子孫の誰かが適合できる。ウイルスに弱い人はウイルスに強い個体を、飢餓に弱い個体は飢餓に強い個体を求め、「より強い遺伝子セット」を作ろうとする。

というわけで、夫婦のエアコンの快適温度は決して一致しない。どちらかが気持ちよければ、もう片方は寒いか暑い。

寝つきも正反対に分かれるようだ。どちらかが寝つきがよければ、どちらかが悪い。寝つきの悪いほうは、寝つきのいいほうの寝息が腹立たしかったりする。

せっかちはおっとりに、几帳面はずぼらに……胸がきゅんとして、燃え上がってしまう。恋愛結婚の時代に、夫婦の感性は、ほぼ真逆といっていい。

エアコンを勝手に切っちゃうのも、先にすとんと寝ちゃうのも、歯磨き粉のチューブを何度言っても途中からぶちゅっとやるのも、それがイラっとするなら、そこが実は惚れポイントに由来する。そういう遺伝子を求めて、胸がきゅんとしたのである。それでも、時にむかっ腹が立つ。それが夫婦なのである。

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