バンナムがあえて「リアル施設」を強化する狙い ゲーム・アニメの世界に入れるMAZARIAとは

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家庭用ゲーム関連市場では、ゲームソフトを買って遊ぶパッケージ型と比べて、スマートフォンでプレイする課金型のゲームの勢いが大きく伸びた。ただし、アーケードゲーム市場においては、ビデオゲームは1プレイ100円という相場が形成されている。そのため、電子マネーの普及を踏まえてもクレーンゲームなどのプライズゲームやネットワーク対戦ゲームなどの一部を除くと値上げが難しいという特性があり、ゲームセンターの減少も続くなど厳しい市場環境となっている。

とはいえ、アニメやゲーム・マンガとして生み出されたコンテンツを2次利用した展示会や、作品で使用された楽曲のライブ・コンサートの人気は極めて高く多く開催されている。このように、ゲームや音楽などの分野では、生み出された作品を基にしたリアルエンターテインメントも重視される時代になったといえる。

これらを踏まえ、今回MAZARIAに設置されたアクティビティはゲーム機というよりアトラクションの性格が強く、ゲームセンターとの差別化が図られている。いわば、アーケードゲームのノウハウを活用し、VR技術を使うことでテーマパーク等でのライド型アトラクションと比べ小型化した、旧来のテーマパークとゲームセンターが融合した施設であるともいえる。

SNSでの拡散も可能に

これまでのVR体験施設はその新規性で多くの人気を博してきたもののVRゴーグルを装着して楽しむため、来場者が楽しさを他の人に伝えづらく「体験した人としかその話題を共有しづらい」、という特性があった。

しかし空間演出に力を入れることでSNSを通じた口コミの共有などがしやすい環境を生み出しているといえる。同社も同施設を踏まえて水平展開の想定は当然にあると考えられるが、大型商業施設にとってもエンターテインメント施設を併設する際のモデルケースとなるのではと考えられる。

動きまわって楽しむアクティビティ「アスレチックVR パックマンチャレンジ」(筆者撮影)

また、池袋というポップカルチャーの中心地に立地することから、ほかのレジャー施設や店舗、レストラン等と相乗効果を生むような仕掛けが求められる。例えばハロウィン時期に商業施設全体で仮装を歓迎し、商業施設やレストランも利用できるような機会を設け、その際にMAZARIAやナンジャタウンも仮装で出入りできるようになれば、さらに広がりを見せると考えられる。

MAZARIAの開業が、サンシャインシティ全体での商業施設としての付加価値が高まるきっかけとなれば、ポップカルチャーの中心としての地位はさらに高まり、国内だけでなく、外国人観光客も増加するのではないか。今後の取り組みに期待したい。

中村 仁 跡見学園女子大学観光コミュニティ学部准教授

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なかむら じん / Jin Nakamura

宇都宮大学卒業、京都大学大学院法学研究科修了。東京工業大学より論文による博士(学術)を取得。東京大学大学院情報学環特任講師などを経て、2019年から現職。東京大学大学院学際情報学府客員准教授などを兼務。専門は観光メディア論、社会情報学。著書に『クリエイティブ産業論 ファッション・コンテンツ産業の日本型モデル』(慈学社)などがある。

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