「トランプ再選は困難」の世論調査は妥当なのか 4つの再選キーワードから読み解く

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ところが、バイデン候補は、この5月に「中国とは、競争にすらならない」と演説して、物議をかもしたことがある。もしバイデン候補が最終候補になれば、トランプ氏が中国とバイデン候補をひっくるめて大批判しそうだ。

「バイデン候補に次いで、中国に甘いのがハリス候補だ」とアメリカのメディアで報じられている。ハリス候補が最終候補に選出された場合も、トランプ大統領は、この「中国問題」でハリス候補を窮地に追い込むだろう。

トランプ再選はありうるのか

7月14日夜に発表されたNBCニュースとウォール・ストリート・ジャーナル紙の最新の共同世論調査は、フォックス・ニュースの世論調査とほぼ同じ結果だった。バイデン候補がトランプ大統領を9%リードし、とくに、アフリカ系アメリカ人の票では、バイデン候補が圧勝している。

しかし、バイデン候補にとって、アフリカ系アメリカ人の票は決して強力とは言えない。6月27日の民主党候補のディベート大会で明らかにされたように、バイデン候補は上院議員時代の、自身の人種隔離問題での過去の立ち位置について、ハリス候補から激しく糾弾されているからだ。バイデン候補がオバマ前大統領とは「大きく異なる個性」であることは、アメリカ社会の常識である。バイデン候補にとって、アフリカ系アメリカ人の票は、むしろ弱点になると言っても過言ではない。

「ディールの天才」であるトランプ大統領は、大統領選のポイントになるアメリカ市民社会の安全問題をメキシコ国境問題と絡めることが、有利に働くことを理解している、と筆者は判断している。アメリカメディアには、そういうトランプ戦略はまったく反映されていない。そのため、トランプ氏に不利な世論調査が多いという結果になっている。

これから先、アメリカ市民社会の安全とメキシコ国境問題をリンクさせた形で、トランプ戦略が理解され、それが「世論調査」にも反映されれば、一気に「トランプ有利、民主党候補不利」に傾く可能性は十分にありえる。

湯浅 卓 米国弁護士

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ゆあさ たかし / Takashi Yuasa

米国弁護士(ニューヨーク州、ワシントンD.C.)の資格を持つ。東大法学部卒業後、UCLA、コロンビア、ハーバードの各ロースクールに学ぶ。ロックフェラーセンターの三菱地所への売却案件(1989年)では、ロックフェラーグループのアドバイザーの中軸として活躍した。映画評論家、学術分野での寄付普及などでも活躍。桃山学院大学客員教授。

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