これまでウォーレン候補は、トランプ大統領がアメリカを分裂させると批判してきたが、実は、自らの公約でアメリカ社会を「大卒」と、そうでない層に分裂させるという思わぬリスクを負っていると言えなくもない。
4つの再選キーワードで民主党候補を追い込む
続いて②のメキシコとの国境問題だ。6月26~27の両日に10人ずつ、20人の間で戦わされた民主党の大統領候補ディベートと、大統領候補関連の世論調査には、共通した弱点がある。いずれもアメリカ市民社会の「安全」という問題意識だ。
トランプ大統領は、この問題をアメリカ社会の「安全」という意識でとらえているが、民主党候補たちは違う。仮に1対1のディベートになれば、トランプ大統領へ有利に働く可能性がある。
③健康・医療保険問題は、トランプ大統領が2020年のテーマとしていち早く掲げているテーマだ。6月18日の出馬宣言では、「オバマ・ケア」大批判を繰り広げており、オバマ政権の副大統領として「オバマ・ケア」を支えたバイデン候補を強く意識していることは間違いない。
国民皆保険については、サンダース候補、ウォーレン候補も同じ立ち位置にいる。ところが、バイデン氏よりサンダース氏に近づいているカーマラ・ハリス候補には、民主党ディベート大会で思わぬことがあった。前日にサンダース氏と100%同じ立場であるかのように手を挙げたが、翌日のテレビ・インタビューで、ディベート大会の時のNBCテレビ司会者の質問に対して、別の意味に解釈して手を挙げてしまったと訂正したことだ。
民主党候補のディベート大会では、バイデン氏を過去の人種隔離政策関連で厳しくやり込め、直後の世論調査では、トップのバイデン候補と肩を並べたハリス候補だったが、その後、じりじりと支持率を下げている。
一方、ウォーレン候補は、国民皆保険の立場にかろうじて間に合った感があるが、それまで健康保険・医療保険問題について歯切れが悪かった。ウォーレン候補の地元の州に、医療関連組織が多いせいではないか、とメディアで批判されている。トランプ氏としては、ウォーレン候補を攻めるだろう。
④の「中国問題」については、トランプ大統領が民主党の最有力候補であるバイデン候補と一騎打ちになったときには、トランプ大統領の大きなポイントになりうる。
民主党では、上院のチャック・シューマー院内総務、下院のナンシー・ペロシ議長とも、対中国強硬派として知られている。
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