「ロボット薬剤師」は薬局をどう変えるのか 小規模薬局からは機械化加速に不安の声
収益力のある大手ドラッグや調剤チェーンであれば、機械化する体力はあるだろう。だが、小規模薬局に機械化投資の負担は重く、非薬剤師を雇う余裕も乏しい。
こうした動きを乗り越えようとする個人経営の薬局の動きも出始めている。長野県上田市にある上田薬剤師会はその1つだ。
全国に約5万9000ある薬局の多くは、「門前薬局」と呼ばれ、特定の医療機関の近くにあり、その医療機関の処方箋を扱うことが中心だ。ところが上田薬剤師会の会員薬局88のほとんどが、複数の医療機関の処方箋を扱っている。門前薬局に比べ業務は複雑になる。しかし、上田薬剤師会の会員はそれぞれが同じように複雑な業務を行っているので、薬局同士の連携がとりやすい。
非薬剤師への研修を行う
例えば、会員薬局の休日は輪番制になっている。会員の多くが複数の医療機関に対応できるので、相互に業務を補い合うことができるからだ。夜間も当番制で患者への対応を行う。いずれも20年以上前から取り組んでいる。処方箋なしで買える一般用医薬品の取り扱いも豊富で、処方箋薬の受け取りが目的でない客も少なくないという。
そんな上田薬剤師会は4月の厚労省通知を受け、会員薬局へアンケートを送付。すでに非薬剤師を活用している場合の業務内容や、機械化の進捗状況などを調査した。非薬剤師を活用している薬局は数軒しかなかったが、「長野県は薬剤師が少ないので、将来的には非薬剤師が増える可能性は大きい」(同会の大沢雄介・常務理事)。
上田のような取り組みは全国でも珍しい。都内のある薬局経営者は「厚労省通知が出たからといって、うちの薬局で新たな対応はしていない。近隣の薬局や地域の薬剤師会も静観しているようだ」と話す。
上田薬剤師会のように薬局同士の連携ができていないと、個人経営の薬局が非薬剤師を雇うのは難しいというのが本音のようだ。雇うときに必要な研修やマニュアルの作成を、薬局経営者がやらないといけないからだ。通常の薬局業務に加えて、これらを準備して実施するのは相当な労力が強いられる。
個人経営の薬局で機械化が進んでいないわけではないが、種類によっては1000万円台の機械もある。機械化を進めるよりは、薬剤師でない従業員を雇って薬剤師業務を補うことで、法改正やテクノロジーの進化に対応しようとしている。調剤報酬改定も控えるなか、個人経営薬局も生き残りをかけて早急な取り組みが求められている。
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