NTTドコモ「携帯違約金1000円は衝撃的だった」

吉澤社長、料金修正は「楽天を見て考える」

ーーモラル的には正しいのでしょうが、乗り換えを考える顧客には値引きやキャッシュバックを続けるauやソフトバンクの方が魅力的に映りませんか。

キャリアスイッチ(乗り換え)ではそうだろう。だから10月までは対ソフトバンクやauでは少し厳しくはなる。auやソフトバンクの販売方法が規制される10月以降は同じ条件になるので、そこからは競争環境は今よりよくなる。

頻繁に乗り換える人が一部に存在するが、そういう人たちに高額なキャッシュバックを続けると、結局そういう業界だと見られてしまい、マイナスだ。それを早く払しょくし、健全化を進めないといけない。

吉澤和弘(よしざわ・かずひろ)/1955年生まれ。岩手大学工学部卒業。1979年、日本電信電話公社(現NTT)入社。NTTドコモ執行役員、副社長などを経て2014年6月から現職(撮影:尾形文繁)

ーー省令改正の概要が判明する前の6月1日から新料金プランを始めた理由は何ですか。

現場を混乱させないように、年度末や春の商戦の時期と新料金が重ならないようにした配慮もあるが、(菅義偉官房長官から)「料金を4割下げる余地がある」という話が昨年8月に出てきた。それなのに、値下げが例えば今年の秋からとなると、(遅すぎて)それって何なんだ、という話になる。われわれも業界の健全化を図ろうという考え方の中で、この時期に下げると決めた。

ーーそれにしても、新料金を決めた後に、ここまで大きなルール変更があると想定していなかったのではないですか。

違約金の話で言えば、そもそも2年契約に入ればその分、毎月の料金が安くなるということに対して、大半の顧客はウェルカムだったと思っている。途中解約に9500円の違約金を課すのは、2年契約では期間拘束のない契約よりも料金を1500円安くしているからだ。途中で抜ければ2年契約終了まで予定していた利益がなくなるので、そのような設定にしている。

ただし、9500円は少し高いという声も耳にしてきた。だから、(違約金の)引き下げを論点とすること自体には賛成だ。ただ、上限1000円への引き下げは衝撃的だった。

再びの値上げは正直難しい

ーー違約金や端末値引きの上限について、総務省の金額の決め方には有識者の間でも疑問の声があります。

金額に対しては(私も)疑問はある。理由はロジカルではないからだ。われわれが5月末の総務省の研究会で示した「端末の値引き上限3万円」という案も、利益率や乗り換え周期から計算して出したものだ。だが、6月に入って総務省の研究会がクローズド(非公開)で開かれ、一気に今の流れになってしまった。

ーー2年契約は先の収入がほぼ約束され、獲得コストを含む費用を2年間トータルで回収できればよいので、料金を安くできている部分があると思います。違約金が大幅に引き下げられると、囲い込みの拘束力が低下するため、2年契約の料金を値上げする必要がありませんか。

ただ、6月1日からここまで安くしたものを、また値上げするのは正直なところ難しい。他社との競争もある。今回、違約金上限1000円への引き下げられた中で、料金をどうやって修正していくのか。微修正なのか、それとも修正しないのか。そこを今、検討し始めているところだ。

次ページ楽天の動きをみながら料金を微修正していく
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