バカ売れ高級ボールペンはこうして生まれた 三菱鉛筆「ジェットストリーム プライム」開発秘話
ペンの機構部分にも手を加えた。5000円のタイプでは、回転繰り出し式をジェットストリームで初めて採用。360度回転可能な新機構で、4機能をスムーズに切り替えられる構造にした。
3000円のノック式では、ストッパーを抜本的に変更。ノック棒(ペン先を押し出すパーツ)の動きがなめらかになったうえ、ノック棒がボディにもぐり込まず、誤ってペン先が引っ込んでしまうケースが大幅に減る作りになっている。部品数は従来品の2倍を超える、複雑な機構だ。
ただ、価格に合わせて商品性を高めても、それが消費者に伝わらなければ購買にはつながらない。特に、高級筆記具のラインナップが多いとはいえない同社において、売るためのノウハウは競合に劣る。「ほかの高級品と同じことをしていてはいけない」と、売るための仕組み作りも同時に見直した。
専用の店頭用什器も開発
3000円を超えるペンは通常、店頭でガラスケースに入れられ、対面販売される。だが、髙梨氏が店頭を回ってみると、ガラスケースに入っている商品を眺めていても、店員に取り出してもらわず、そのまま帰る客が多かったという。「ジェットストリームは書き味がウリ、書いてもらってなんぼの商品。これでは売れない」(髙梨課長代理)。
そこでガラスケースにしまわれることのないよう、独自に店頭用陳列棚を用意。専用什器のポイントは、客が自由に使うことのできる試用ペンを付けること。ただ、高級筆記具のイメージは汚さないように、工夫が凝らされている。
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