バカ売れ高級ボールペンはこうして生まれた 三菱鉛筆「ジェットストリーム プライム」開発秘話

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外側と中身、すべてを刷新

高級仕様にしようと思えば、外側のボディだけ高級感のある金属にすればいいと短絡的に考えてしまいそうだ。だが、それだけでいいのか。3000円や5000円といった高価格帯に本格参入するのは、三菱鉛筆としては今回が初めて。インク以外のすべてを見直すなど試行錯誤が続いた結果、発売に至るまで2年かかった。

第一の改良点はボディの太さだ。「高機能と高級感の両立」というコンセプトから、多色で3機能、4機能をもったペンを開発することは早々に決まったが、「4機能が付いていてもコンパクトに収め、価格に見合うデザインにしたかった」(商品開発部の深沢直人係長)。

だが、4機能のボールペンの場合、ペンの中に4本の芯が入る分、太くなってしまう。そこで手をつけたのが、インクを入れる芯の見直しだった。従来の芯は樹脂製で、十分な強度を持たせるために厚みが出てしまう。そこで、強度を維持しながらより薄く細く作ろうと、ステンレス製に変更した。

中高価格のボールペンには、しばしばステンレス製の軸が使われてきたが、ジェットストリームでは初めて。金属の芯でインクが適正に流れるか、なめらかな書き味は変わらないか、繰り返しテストが行われた。

完成したステンレス製の芯は直径2.3ミリメートルと、従来の芯から0.7ミリメートル絞り込んだ。芯の改良によって、4機能のボールペンの軸径は11.7ミリメートルと、樹脂製の4機能ペンに比べて1.2ミリメートル細くなり、単色の高級筆記具とほとんど差のない細さを実現した。

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