50代から「幸福度」がゆるやかに増す根拠 「おっさん」「おばさん」の認識改めるべき
そもそも高齢者は本当に仕事の能力がないのだろうか? ラウシュは『ハピネス・カーブ』で加齢に関する最新研究を紹介している。
また、中高年を訓練するのは難しくもないし、適応能力も問題ないばかりか、新しいトレーニング方法にもうまく対応できる。認知能力は年齢とともに衰えていくものの、中高年は脳のほかの領域を同時に使うことでその点を補っている(この現象は“全輪駆動”と呼ばれている)。中高年のチームは少しスピードは遅いかもしれないが、ミスは少ない。健康面では「毎日の健康状態は、中高年も若者もどちらも同じくらい(身体的にも精神的にも)健康的」だが、コンリーによると「平均すると、中高年は若者ほど休みをとらない」という。(『ハピネス・カーブ』363ページ)
高齢者に対する社会的認識の見直しが必要
過去50年で寿命は飛躍的に延び、先進国では人生100年時代を迎えようとしている。もちろんお年寄りを大切にするのは当然だ。しかし、高齢者は弱者だからといって過保護に活動を制限するという従来の認識では、彼らが活動的に生きることを制限しかねない。
今の「高齢者」や「お年寄り」がかつての「高齢者」や「お年寄り」とは同じではないのはラウシュの指摘のとおりだ。
高齢者を社会の隅に追いやるのではなく、知恵と経験をもった大先輩として社会的に活躍できる時間を延ばすようなシステムの再構築には、まずは中年期のあり方や社会的サポート、そして社会認識の見直しが必要となる。
少子高齢化問題のフロントランナーである日本が加齢と社会について考えるうえで、本書から学べることは多いだろう。
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