仕事を急に休まざるをえない不妊治療のリアル

有給休暇を使うなどの工夫ができない事情

ご存じの方も多いと思われますが、最初に女性の月経周期と排卵、妊娠可能な時期についてもう一度基本的なことから確認しておきましょう。まず、正常な排卵があって月経が来ている女性の場合を理解するところから始めましょう。

女性の月経周期は、正常では25〜38日とされており(日本産科婦人科学会)、通常は月経が始まる日の2週間(14日)前が排卵日です。

当院のデータでは、排卵日の2日前が最も妊娠しやすく、その日から排卵翌日まで、つまり排卵をはさんだ4日間だけが妊娠可能な時期です。それより早くても遅くても、妊娠した方はいませんでした。

最も多いとされる月経周期、28日周期の場合、年間に13回排卵がありますが、妊娠可能な時期は、それぞれの周期で4日ずつに限られ、当然のことですが、その時期はご本人の都合とは無関係にやってくるのです。一方で、精液所見に異常がない男性の場合は365日いつでも妊娠に向けた準備ができています。

タイミングとは?

妊娠したいカップルが不妊治療で最初に受けるのは、一般生殖医療(いわゆるタイミングや人工授精)です。患者さんの状況や都合、または治療施設によって順序などは異なることがありますが、まずは子どもができにくい原因や現在の体の状況を確かめる不妊スクリーニング検査をしながら、病院でタイミング指導を開始することが多いでしょう。

不妊スクリーニング検査については、また別の機会に説明したいと思います。

タイミング指導、私も産婦人科医になった頃、その名称に違和感を覚えたものです。なぜタイミングと呼ぶのだろうか、と。患者さんには「今月のタイミングは、○日後です」と説明しますが、医学用語ではありません。

タイミングというのは排卵のタイミング、妊娠しやすいタイミング、つまり赤ちゃんを作るための性交渉のタイミングなのです。不妊治療を受けたことがないと、タイミングって、こういう使い方はきっとしませんよね。患者さん側の造語で、月経が来ることを「リセット」と呼んだりするのと似ているのではないでしょうか。

さて、タイミング指導の基本は、排卵日を予測することです。

排卵の予測は、月経周期・基礎体温・超音波検査・ホルモン検査を組み合わせて総合的に判断し、指導します。

前にも書いたように、排卵の翌日までしか妊娠ができないので、排卵から2日以上経過してしまっては、タイミング指導にならず、次の周期の排卵を待たなければなりません。

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