仕事を急に休まざるをえない不妊治療のリアル 有給休暇を使うなどの工夫ができない事情

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例えば、月経周期が月によって異なり「早いと26日、遅くなると34日」という患者さん、決して少なくありません。こういう方には、排卵を逃さないよう以下のように通院を促します。

「月経周期が26日」という周期は、月経が始まる14日前が排卵日ですから、月経開始から12日目が排卵日です。しかし、この患者さんは遅い月は34日で月経が来るのですから、その月は月経開始から20日目に排卵するということになり、その差が1週間以上もあるのです。

ステップアップすると数日毎に受診

月経開始から13日目、14日目では、早い月では排卵が終わってしまっています。一方で、12日目に受診しても、その月の排卵日が20日目でしたら、13日目、14日目に排卵予測はできないため、再度受診してもらわなければなりません。少なくとも排卵日の3日前くらいでないと予想が難しいからです。「明日もう一度来てください」「明後日くらいに来院してください」と促す理由はここにあるのです。

一方で、一般生殖医療で妊娠ができないカップルには、次のステップとして体外受精など高度生殖医療を提案します。

高度生殖医療の方法は医療施設によって、さまざまですが、多くの場合排卵誘発剤を用いた卵巣刺激が行われます。これも詳しくは、後日改めて詳しく書いていきたいと思いますが、排卵誘発剤の反応にも個人差があります。

例えば注射剤を用いる場合、基本的に連日通院したり、自己注射を指導され自分で注射したりする方法もありますが、自己注射の場合でも数日ごとに受診して診察を受けなければなりません。

治療する側からすると、体外受精のために行う採卵をベストな時期に設定したいため、時にはまた翌日の受診を促すこともあります。

このように、一般生殖医療ではご本人の排卵日に合わせて、また高度生殖医療でも卵巣の反応性を見ながら治療が行われるため、お仕事やご都合と無関係に通院、受診しなければならないのです。

桜井 明弘 医師・医学博士

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さくらい あきひろ / Akihiro Sakurai

1970年高崎市生まれ。1994年、順天堂大学医学部卒業、2000年同大学院修了。医療法人産婦人科クリニックさくら理事長・院長。一般不妊治療や高度生殖医療(体外受精なども含む)など2万5000例を手がける。専門は不妊治療・婦人科内分泌、婦人科腹腔鏡下手術。日本受精着床学会より「世界体外受精会議記念賞」を受賞。2015年には女性のQOL向上を目指し、一般社団法人「美人化計画」を設立、代表理事に就任。著書に『あなたが33歳を過ぎて妊娠できない44の理由』(幻冬舎)。映画『ジーン・ワルツ』『ALWAYS 三丁目の夕日』やドラマ『隣の家族は青く見える』などの医療監修も。

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