去る6月14日、日野自動車は同社の安全への考え方を示すべく、交通事故死傷者ゼロの実現に向けた「最新安全技術試乗会」を開催した。
日野自動車はかねてより、「安全は商用車メーカーの社会的責務」と捉え、人/クルマ/交通環境が三位一体となった事故低減に向けた取り組みを行ってきた。その具体例を同社では「Challenge2025」と命名し、2020年代に高速道路における死亡事故をゼロに、2030年代には一般道においても死亡事故をゼロにする目標を掲げている。
バスは乗客の人命を預かる重大な使命、トラックは車両総重量の関係から事故被害が大きくなりやすいという物理的な課題があることから、業務を行うバスやトラックを危険な運転環境から遠ざけ、万が一の際にも被害を最小現に抑えることが重要。今回の試乗会はそうした最先端の技術に触れることが目的だ。
過去にも日野自動車では、開発した先進安全技術を速やかに市場へと導入し、さらに積極的な標準装備化を進めてきた。2006年、大型トラックとバス向けの衝突被害軽減ブレーキを商用車世界初として導入し、2010年には大型トラックと観光バスに日本初の標準装備化を行った。
人工知能の機械学習も採用
今回の試乗会では、その先進安全技術のうち大型観光バス、大・中型トラック向けとして「ドライバーモニターⅡ」や、大型観光バスにおける「自動検知式ドライバー異常時対応システム/EDSS」を中心に、大型トラックの死角にいる自動車や自転車などを検出する「サイトアラウンドモニターシステム」や、小型トラック向けの「前進誤発進抑制」「クリアランスソナー」「低速衝突被害軽減機能」が紹介された。
ドライバーモニターⅡは、同社が採用していた「ドライバーモニター」の進化版。従来、運転中のドライバーの顔向きは、眼/眉毛/鼻/口の位置などから画像認識により点として判断していた。ドライバーモニターⅡでは画像認識技術を昇華させ、顔の輪郭を情報として新たに加えつつ従来は点であった眼/眉毛/鼻/口の識別ポイントを形状(≑連続線)として捉えている。
さらに人工知能の機械学習を採用し、顔向きの推定を行いつつ、そこに表情認識モデルを用いることで、ドライバーの顔向きなどをより正確に判断できるようになった。これにより、例えば急な対象変化による運転姿勢の乱れや、マスクを装着していても正しく認識できるようになったという。
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