警察庁交通局が発表した「第一当事者人身事故件数」を確認してみると、バス(路線・貸切)の場合2008年に年間3239件発生していた事故が2017年には年間1493件と約46%にまで減少している。
ここでの第一当事者とは警察庁によると、「最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む。)の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をいい、また過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者」(原文ママ)と明記されている。つまり、発生した交通事故に関係するドライバーや歩行者のうち、最も過失がある人が第一当事者になる。
タクシー・ハイヤー(法人・個人)の場合は、同じく2万2442件→1万3059件と約58%にまで減っている。一方、同じ期間を一般的な自動車ユーザーが運転する自家用普通乗用車で見てみると、50万6268件→33万3274件と同様に減少傾向にあるものの減少率はやや鈍く約66%にとどまる。
事故件数の低減はドライバーの安全運転に対する意識改革や運転技能の向上にはじまり、職業ドライバーであれば各事業所におけるリスク管理の徹底、さらには車両に対する先進安全技術の実装が効果的な要因だ。先進安全技術のうち、とりわけ「衝突被害軽減ブレーキ」は2007年から商用車に対して車両総重量(GVW)に応じた段階的な義務化が乗用車に先駆けて導入されるなど、法整備の前倒し効果も認められる。
バスは人対車両の死亡事故割合が高い
全第一当事者の事故類型別構成比を見てみると、バスではある傾向が見られる。もっとも顕著な事象は、「車両単独その他」に分類される事故の割合が37.1%と非常に高いことだ(値は2008~2017年の合計で警察庁交通事故統計より算出)。ちなみに同割合は、タクシー・ハイヤーでは3.1%、自家用普通乗用車では0.4%と極めて少ない。
さらに細かく、第一当事者死亡事故の事故類別型構成比を見てみると、バスやタクシー・ハイヤーでは「人対車両」の事故が64.5~67.0%と高い値であるのに対して「車両相互」の事故は27.1~28.3%と低い。対して、自家用普通乗用車は「人対車両」が41.2%、「車両相互」が38.5%と互いに近い値を示している。
こうしたことから、商用車における人身事故件数は低減効果を狙った努力と策が効果を発揮し減少傾向にあるものの、バスでは車両単独での事故割合が高く、人対車両の死亡事故割合が高いことがわかる。
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