名古屋駅の太閤通口側にある「yonezawa」という小さなレストランに来ている。ワイン好きの友人に教えてもらったカジュアルな店だ。やや猥雑なエリアにあるが、店内に入ると明るく健康的な雰囲気が漂っている。
今回登場してくれる晩婚さんの西澤修一さん(仮名、47歳)とは数年前からの知り合いだ。婚活を続けていたことを知っていたので、「婚約しました」と報告してくれたときは妙に嬉しかった。同じ40代男性だという連帯感があるのかもしれない。おいしいと評判のyonezawaでお祝いをしながら結婚ストーリーを聞いた。
氷河期世代、仕事に必死だった20代
修一さんの隣に座っているのは、整った顔立ちにショートカットがよく似合う優子さん(仮名、45歳)。緊張しているのか表情は少し硬い。好きなものでも飲みながら気楽にしてほしい。
まずは修一さんのほうから。愛知県で生まれ育ち、大学生活は東京で過ごし、地元に戻っての就職を目指した。しかし、就職氷河期だったこともあり、就活は難航。やっと入れたのはブラックな社風の地方銀行だった。過酷なノルマとサービス残業だけではなく、会社の存続も不安だったと修一さんは明かす。
「でも、30歳まではとにかく頑張ろうと思いました。恋愛や結婚はあまり考えなかったな。30歳までは独身でもおかしくないでしょう?」
同意を求められても困るが、仕事で追い詰められると余裕がなくなる点には共感できる。修一さんはその後、転職を経て現在の勤務先である不動産会社に入ることができた。31歳のときだ。
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