再就職後に3割も辞める、子持ち主婦のジレンマ 「時短=成長を望まない」も大きな勘違い

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大嶋:1つは、ブランクのある女性が始めやすい、1日2~3時間のプチ勤務を作るということですね。実際に、人手不足の解消と地域の潜在的な労働力の掘り起こしを目的に、そうしたプチ勤務の創出に取り組む自治体が出てきています。

「時短勤務=成長を望まない」ではない

それから、家族と親族以外に相談できる人がいると辞めにくいというデータもあるので、自治体が相談の窓口を作ることもいいと思います。

あとは、実は仕事で成長を実感できている人では、働くことを辞めたいと思う人が少ないんです。企業は、短時間勤務でも研修やステップアップできる機会を設けたらどうかと思います。短時間しか働けないことは、女性が成長しなくてもいいと思っているということを意味しないのです。

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中野:筆者が現在住むシンガポールでは、駐在妻も働くことができるので、奥様向け人材紹介みたいなものもあるのですが、同じような声をよく聞きます。確かに、企業からしたら、ある日夫の転勤で帰国することになってしまうかもしれないから、どんどん成長させてこれもあれも任せて、というわけにはいかないのもわかります。

でも成長して転職してしまう可能性があるという意味では、実は誰もが同じ。パートでは比較的単調な作業で、もっとできるのに任せてもらえず悶々としている人は多い。本当は「日本に帰ったときに、これをしていましたと言えること」「こんな経験もある、視野が広がったとか成長がしたい」という話をよく聞きます。

大嶋:本人の希望も移り変わっていくものだったりするからこそ、コミュニケーションが大事かなと思います。働き始めて半年くらいして、「これでいいんだっけ」となっているところに、上司も「半年経ったけどどう?」「働き方変えていきたい?」と聞いてみる、フォローすることが継続につながります。

中野 円佳 東京大学男女共同参画室特任助教

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なかの まどか / Madoka Nakano

東京大学教育学部を卒業後、日本経済新聞社入社。企業財務・経営、厚生労働政策等を取材。立命館大学大学院先端総合学術研究科で修士号取得、2015年よりフリージャーナリスト、東京大学大学院教育学研究科博士課程(比較教育社会学)を経て、2022年より東京大学男女共同参画室特任研究員、2023年より特任助教。過去に厚生労働省「働き方の未来2035懇談会」、経済産業省「競争戦略としてのダイバーシティ経営の在り方に関する検討会」「雇用関係によらない働き方に関する研究会」委員を務めた。著書に『「育休世代」のジレンマ』『なぜ共働きも専業もしんどいのか』『教育大国シンガポール』等。

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