大嶋:ブランクが長すぎても辞めやすい要因になるのですが、一方で、「子どもが小さいのに」「私が働き始めたから家の中がぐちゃぐちゃで」とか、罪悪感を抱えやすい場合に再び離職してしまう。
これがわかっているから多くの人は短時間で働き始めるわけですが、それはそれで、続けるうえではいい戦略なのだけれどキャリアアップが難しくなる、女性の賃金が上がっていかない要因にもなってしまう。
中野:末子が3歳未満で働き始めるケースというのは、保育園に入れたということですかね。ただ3歳以降になってくると、幼稚園が魅力的に思えたり、子どもも「あれがいいこれがいい」と自己主張をしはじめたり、習い事もさせたい……といった欲が出てきて、それができていないことに罪悪感を覚えるという声を聞きます。
この調査での結果と、こういった発想がリンクしているかはわかりませんが、習い事などは、本来お母さんが家にいる子どもが暇を持て余すからやっているというような側面もあるのに、必要以上に「うちもやらなきゃ」「やってあげられていないことが多い」と焦ってしまう家庭も多そうです。
大嶋:やっぱり、家事育児が自分だけの仕事であるというふうに女性が認識しているとハレーションが起きたときに悩んでしまうと思うんですね。なので、夫婦でもっと分担についてとか、家事のレベルはこれくらいでいいよねという話を事前にしておくことが有効だと思います。
家事・育児に求める水準の高さ
中野:夫が「家のことがおろそかにならないなら、外で働いてもいいよ」というスタンスだというケースもよくあります。そこは男性にとっても楽になる可能性があるのだから、もっと長期的視野で夫婦の生き方を考えてほしいですよね。
私の新刊の中でも、日本の女性は家事・育児に求める水準が高すぎて、しかもそれを「自分でやらなきゃ感」が強すぎるという話を書いています。そうなってしまうのは親世代の呪縛だったり、主婦のアイデンティティー確保だったり、要因はいくつかあるのですが、女性が外で働き始めてもそれを保とうとしたら、それは無理だよねと。
大嶋:家事などの水準を落とすというのもそうだし、家事代行を頼むなど外注するというのも都市型ソリューションとしてはありますよね。
中野:そうですね。再就職でどこか企業にパートタイムかフルタイムで、という枠組みではなく、フリーランス的な働き方や副業を組み合わせるといったパッチワーク的な働き方も、前回解説していただいた「夫婦4.0」構築のうえでは使えると思うのですが。
大嶋:まずやってみるという意味でも、フリーランスなどの働き方はいいと思います。実際に、クラウドソーシングのような枠組みなどから仕事を始めて、やっぱり人と接する仕事をしてみたい……と家の外でのパートを始めるなどの事例もよく遭遇します。
中野:自治体や企業などができることもありますか?
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