参院選は政治家のイメージだけでなく顔も見よ

中島岳志とプチ鹿島が徹底的に語り合った

中島:2年前に希望の党が結成されたとき、僕がまさに床屋にいたら、「あれってなんか変だよね」とおじさん同士で話していました。政策的にマッピングしても、民進党の人たちが、小池百合子さんと組むのはおかしい。そう言語化できなくても「変だ」と思う感覚がある。あのときに「小池を担げば人気が出るのでは」と思った人たち以上に、庶民の実感は強く、それなりに信頼に足るものでした。

政策だけではなく「顔」も見極めることが重要

鹿島:おじさんはおじさん、おばさんはおばさん、それぞれの場所で人間をずっと見てきたわけで、「なんかおかしい」と思う直観はけっこう当たっていますよね。では、何が具体的におかしいのか、議論するのは政治家の仕事です。

中島:民主主義の基本の書と言われるアレクシ・ド・トクヴィルの『アメリカのデモクラシー』(1835年)という本があります。彼は、デモクラシーの本質は政治家の質に還元されないと考えていました。個人と国家との間の領域がどれだけ分厚いのかによってその質が左右されるのだと。

例えば昔のアメリカではみんな教会へ行き、宗教以外の話もしていました。その中で他者と折り合いをつけながらなんとかやっていくと、小さなパブリックが生まれる。それが政治の基礎要件であり、アメリカの共和主義に広がっていったというのが彼の理論です。

だから床屋のような領域は、デモクラシーにとって重要だと言えます。床屋政談でも自分の言いたいことだけを言っていたら嫌われますよね。

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鹿島:気楽な空間に見えて、自分の本音を100%話す空間ではない。相手の言うことも聞くし、必ずしも自分と同じ考えの人がいるわけではないことを知っている。

今、SNSで相手に直接たたきつけるような、刺激的な言葉が飛び交っています。床屋では絶対に言えないような言葉が、誰でも見える公的空間に出てしまう。もっと手前の場所でガス抜きができれば、SNS上のギスギスした言葉は減っていくと思うんです。しかし今は、その言葉遣いに政治家も乗っかっている状況です。

中島:床屋政談のようなものが失われているからこそ、広告的なイメージだけで判断するようになっているのかもしれません。政策だけではなく、彼らの「顔」も見極めることが、重要なのでしょうね。

(構成:山本 ぽてと)

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