参院選は政治家のイメージだけでなく顔も見よ 中島岳志とプチ鹿島が徹底的に語り合った
鹿島:ポスト安倍と言われた岸田文雄さんも、実は本を書いていなかったという。
中島:まったく書いていません。著作がないこと自体が、彼らの政治的スタンスと関わっています。岸田さんはよく言えばバランスが取れていて、悪く言えば風見鶏です。
鹿島:「優柔不断おじさん」ですね。「保守分裂」と言われた2019年の福岡知事選で、麻生太郎財務・金融担当相が推す候補の応援に入るか入らないか、その優柔不断さが記事になったくらいです。
安倍 vs. 石破の論点とは
中島:メディアでは「政策」よりも「政局」が注目されます。「細野豪志が、なんと自民党二階派に!?」と。まぁ、面白いとは思うのですが、ぜひ政策や理念、ビジョンも見てほしい。お金の配分(リスク)を縦軸、価値の問題を横軸にマトリクスを作成し、各政治家をマッピングしてみます。
例えば、前回の自民党総裁選を考えてみます。安倍さんvs.石破さんでしたが、「安倍に石破が盾突いた」といった政局的な話で終わってしまい、政策的な話はほとんどされませんでした。しかし政策的な論点はいくつもある。石破さんは安全保障についても、安倍さんとは異なる考え方をしていますし、とくに辺野古移設にも積極的ではない。
鹿島:世間では「軍事オタク」のイメージがありますけどね。
中島:そうそう。ですが日本は外交的に自立しろというタイプで、日米安保の地位協定を改定し、アジア版NATOが必要だと言っています。総裁選で沖縄問題は十分な焦点になったはずなんですけど、政局的な話になってしまった。議論の立て方はもう少し工夫してほしかったと思います。
マトリクスで整理してみると、安倍さんはパターナルでかつリスクの個人化を志向しているタイプ。石破さんはリスクの個人化は同じですが、考えは案外リベラルなタイプです。